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海外の難民キャンプに日本の絵本を送るボランティア・プログラムに参加。翻訳が印刷されたスティッカーを貼っていくだけの簡単な作業だけれど、自身が何よりも絵本を楽しみ、子供の喜ぶ顔を思い浮かべては嬉しくなる、気持ちの良い活動だった。あの人気の「ぐりとぐら」もあった。ゆったりとした時間の流れる森に住むリスのぐりとぐらのひたすら真剣な食道楽の愛らしいおはなし。子供の視界はやっぱりこうでなくちゃ。いつか内戦吹き荒れる地に生まれた子供達の絵が血の色に染まっているのを見て意気消沈したことを思い出しながらそう思った。
書庫で探し物をしていると、よく掃除のおばちゃん達の休憩室から世間話が聞こえてくる。どうして"掃除のおばちゃん"は揃いも揃って小柄でパンチパーマに近い髪型なのか。ここの人々に限っては体力を持て余したようにとても口が乱暴。ともあれ、今日はひとりが、
「60歳を過ぎたら市から健康状態や仕事の有無についての調査が送られてきた。」
と言い、それに応じて病院や仕事を世話してくれるのだと迷惑そうに話していた。もう一人が威勢よく、
「そんなの健康で仕事があるから余計なお世話だって書いて送り返してやんなよ。」
と言い飛ばす。人生を諦めた五体満足な若者があっさりとホームレスになって社会が悪い、会社が悪いと責任転換するこのご時世、病気も逃げてくような彼女達の不死身さが妙に爽快でひとり書庫でこっそり笑った。