My life as a cat
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2009年04月12日(日) 桜餅

天気に恵まれた良い一週間だった。ランチタイムはうとうと日光浴、午後に仕事がひと段落するとムッシューとガレットを齧りながら、彼の友人のSaint Maloの別荘の思い出話を聞いてうっとりしてみたり、なんとも夢見心地の時間があった。

ボックス席に陣取って、遠足の子供達のようにリラックスしたいつもの帰り道、何かの弾みで、若くて諦めた中国人とわたしが結婚すればいいんじゃないのかというジョークが出た。わたしは咄嗟に楽しくなって、ニコニコしたが、こんな単純三十路女の束の間のハピネスをぶち壊すように当人が強く否定した。

"No No No No, I'm too old for her"

あまりにも咄嗟の出来事でその時はあまり感じなかったが、家に帰ったらじわじわと具合が悪くなってきた。何度Noを言ったのか。最後は明らかにわたしが年上過ぎるという意味の裏返しだ。年をとるということは素敵なことだと信じてきたが、それは周囲のリスペクトがあってこそそう思えるのかもしれない。気に入った男の子に年齢のことを言われるのは初めてだったから堪えた。独身のまま皺だらけになったみじめな自分の姿があるように思えて毛布を被って横になっていたら涙がぽろぽろとでてきた。

次の日も次の日もばりばりと働いたけれど、心は完全に寝込んでいた。いつも隣で無邪気にお菓子を貪っている若い娘が当人にわたしの落ち込み様を話すと、今度は当人が罪の意識に寝込んでしまった。

「急にそんなこと言われて驚いちゃったんだ。本当はそんなこと思ってないよ。あなたは十分キレイだよ。」

日本語で必死に謝ってくれた。その後も同僚にわたしの様子を訊ねたりして、相当気にかけているらしい。彼のオフィスへ行くと痛い程視線を感じる。

会社帰りに摘んだ桜の葉を2日かけて塩漬けにして桜餅を作った。もう許すといういう意味をこめて、前からこれを楽しみにしていた彼に食べさせてあげよう。


Michelina |MAIL