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| 2008年06月26日(木) |
どんなに時間が流れても |
彼からのメールは忘れた頃にひらりと舞い込んでくる。
"明日パースに戻るで〜。”
なつかしい。関西弁やねぇ。唯一マーヴのことを、
"アイツ、いい男よなぁ"
と認めてくれる貴重な友達だ。母子家庭でオカンに厳しく育てられた人らしく、料理をご馳走しても、つべこべ言わず、いただきます!とだけ言って黙って平らげる男っぷりのよさは惚れ惚れする。日本人離れした骨太のがっしりした体つきとどっしりと座った目つきで、ナイトクラブに行けば白人のオネエチャンにおっぱいすりつけられたり、休日になると部屋からぞろぞろ女の子がでてきたり、周囲にはいつもオンナがひらひら舞ってるのだが、彼にとって彼女達は全てただのお笑い話ネタ。おかげで楽しませてもらいました。大阪で暴れまくっていると風の噂には聞いていたが、暴れて暴れて、True loveに出会ってしまったらしい。
"真剣や。出会ってもうたわ。"
ですって。
こつこつと記憶が甦る。和食のディナーを共にして、食後のコーヒーを飲みながら怪談話に耽った夏の夜。気味が悪くて大嫌いだったラウンジの薄暗い裸電球は、この夜の為にあるのだと思えるくらいの盛り上げ役だった。怪談話といっても半分以上は実存する背筋の凍りつくような病的な凶悪犯の話だったりしたが。こんな湿度の高い時間は日本人としか共有できなかっただろう。日々精一杯で昨日も明日も見えていなかったとき、ふと四方から聞こえてくる日本語に湧き出す日本の心、丁寧な日本の空気にふと立ち止まってみる時間をもらった。
べったりと付き合うのは苦手でマメに愛想を振りまいたり出来ない。それでもふとどこかでわたしを思い出してくれる人がいることが嬉しくてたまらない。逆にふと思い出して連絡する相手がいることも。いつでもそれなりの苦悩と幸福の中に生きているし、未来に沢山期待を持っているから、思い出に浸ってもその頃に帰りたいとは思わない。ただその頃の残像が現在に実存しているという事実が胸をあたためる。いつも自分が明日どこにいるのかわからないという不安定の中に生きてきて、一瞬の交わりだけに終わらなかった人の存在はゆっくりゆっくりあたためていたい。