My life as a cat
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2007年01月26日(金) リサの帰国

一年間のワーキング・ホリデーを終えて、リサがイタリアに帰った。ヨーロッパがひとつになって以来、聞きなれない国からのワーホリが増えたと言えどもやはり日本人などと比べればまだまだ小数。「親元や幼い頃からの友人と離れたことがなかったから一度本当に一人で試してみたい。」と言って来たものの淋しがりやの彼女には慣れた文化と慣れた人々のない暮らしが随分と堪えたことがあったようだった。新しい事々へ猛進する日々の中でも、たまには同郷の人々と同じ言葉で分かち合ってほっとしたい時があっただろうにそんな人々ともあまり縁がなかったようだ。わたし達は家が近かったから知り合ってすぐにお互いの家を行き来したり、カフェやパブにふらりと繰り出すようになった。一緒に歩いていてふと気付くとどこかの店のガラスにへばりついて”He is so gorgeous!” などと目をハートにしてうっとりしている。またかと呆れつつ中を覗くと感想を述べるのにも困るようななんの変哲もない素朴な雰囲気の青年がいる。理数系の職に就いているような頭脳派の男が好みなわたしに対して、彼女が好きになるのはいつも腕に蛍光テープが光っているような体力派の男達だった。彼女のように勉強も仕事もよくデキる女は、男に愛情以外の期待はかけないようだ。それにしてもそんなタイプの男達は何もかもにのらりくらりなことが多くて、いつも甘いことを囁かれ続けて突然消えただのと泣きつかれる度に、どっしりと重い歴史を抱えて過去に執着する国から来た人と、何もかもが薄っぺらのような歴史もなければ未来への期待もない、「今」だけを頼りに生きているような国の人の心境のすれ違いを思って溜息をつくばかりだった。しかし、どんなに淋しい夜を過ごしても、強気な彼女は逞しくきっかり一年をここで過ごして、任期を終えたようにすっきり顔で帰国していった。

シティ側のジェッティから見たオーストラリア・デイの花火の背景に彼女の乗った飛行機が軽快に飛び立っていくのが見えたような気がした。


Michelina |MAIL