My life as a cat
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2006年12月25日(月) 家族の時間

マーヴの親友のデイヴィスの家に遊びに行った。以前からちょっと奇妙な家族なのだとは聞いていたけれど、それはもう家に入った瞬間に伝わってきた。お父さんとお母さんと大学生の弟も出てきて大歓迎してくれて、「座りなさい、座りなさい」とわたしをリビングのソファーまで誘導して、腰をおろすなりすごい勢いで質問攻めされた。「とにかくよく喋る」、「同じ事を何度も言う」、「ただのWant to をあたかも本当にその計画があるように言い切ってしまう(あっ、でもこれはガイジンの特性ね)」、「用心深い」というのはデイヴィスの特性だけれど、これが家族全員同じなのには驚いた。マーブは”Depressed family(落胆家族)”と表現していたけれど、そんな暗い影も、明るくて仲の良い彼らの会話の中にちらりと見えた。

マーブが「恐怖の炭水化物料理」(笑)と表現するお母さんの料理は噂どおりたっぷりパスタにポテトにちょっとだけ生野菜というものだったけれど、彼らは東欧の人だからこんなものでしょう。お父さんとお母さんは戦争で国を追われて、幼い二人の子供を連れて言葉もできないのにここにきて、移民して間もない頃は苦労したのだというような話をしていた。「オージーはニコニコ笑っても、本当は外国人嫌いなのよ。」と当時お父さんが自分の技術を生かした仕事につけなかった理由を人種差別に押し付けて嘆くお母さんの横で、当の本人は「ここは豊かでいい国だなっ」などと言っている。子供を抱えて、支離滅裂でコロコロと気が変わるお父さんに着いてきて一番気を揉んで苦労したのはお母さんなのに違いない。10年近く住んだ今でも、ヨーロッパに帰りたいと言う。でも、家の男三人がわたし達に「ねぇ、ママはすごい料理上手でしょう?」などと誇らしげに言ってくるところを見るとお母さんはそう不幸な人ではないのだろうと思った。

食事中、マーヴがわたしが口を着けたフォークを使うと、お母さんに「同じフォーク使ったの??」と目を丸くして驚かれて、逆にこちらが驚いてしまった。

夕方にスカボロー・ビーチへ繰り出しても、弟は「針が落ちてるかもしれないからサンダルは脱がない」と言う。その後「アイス・クリームは喉を引っ掻くから悪い食べ物だ」と言ってわたし達が食べるのを横で見ていた。デイヴィスは「ママ、魚の骨が喉に刺さると死んじゃうから絶対骨付きの魚は買ってこないでね」などと言っているし、わたしとマーヴは「神経質過ぎだよ」と苦笑いするばかりだったけれど、いつどこでテロにあって命を落とすのかわからないようなところに身を置いた経験のある人は用心深くなってしまうのだろうと納得した。

奇妙だけれど、みんな屈託の無いいい家族だと思った。そして家族の時間をたっぷり持っているのもいい。そうマーブに伝えると「っていうか持ち過ぎだよ。」と返された。確かにだからみんな似過ぎてしまうのかもしれないなっとまた納得。


Michelina |MAIL