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たまに出向先のアデレードからワインを抱えて週末だけパースに帰ってくるアレックスとピクニックへ。観光客で賑わいはじめたキングス・パークももちろんいいけれど、今日はわたしの密かな隠れ家のような公園に案内することに。冷えた白ワインを開けて喉を潤して、池の周りをゆっくりと散歩。木々に生い茂る新緑も、そこから漏れる光も何もかもが美しい。アデレードにはこんなに美しい公園はないよ、ここに何年もいて麻痺してたけど、やっぱりパースは世界一美しい町だとアレックスが言った。
と、そんなことを言いながらも彼は自分の国に帰ってビジネスをする計画がある。どんなに美しい町に行き着いてもそこであっさり野心を捨てたりしないのが男というものなのか。わたしは居心地のいい場所に辿り着けばすぐにそこから動けなくなってしまう。自分だけが止まった時間の中に閉じ込められているのに、世界はお構いなくせかせかと動いている。クールねっ、と言いながらもいつか来るだろう旧友の旅立ちを思って、置いていかれてしまうようなさびしに胸をちくりと刺された。