My life as a cat
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2006年05月16日(火) 一生残る財産

お金と暇を持て余した中国人のアンクル・トーマスは、黙々と中華料理を食べるわたしに、ひたすらジャスミン・ティーを継ぎ足しながら、金持ちのオージーと結婚してここで一生楽に暮らせばいい、紹介してやるからと盛り上がっている。お金持ちで世話好きとなればこのノース・ブリッジ界隈では自然と顔が利くようになるのではないだろうか、彼の財布を一度も見たことがない。こういう類の中国人には珍しく、下品な立ち振る舞いをすることもないけれど、なんとなく彼の連れて来る人間というのが想像ついて気乗りがしない。中国人の成功者にはつきものの若い頃の強烈な苦労話のひとつやふたつは朝飯前だし、そこに集まってくる人間というのは同じくらいハングリー精神を持った人ばかりなのではないだろうか。どんな人が好みなんだと尋ねられて「インテリジェントでスマートな、、、、、」とだけ言って、夕方6時に家に帰ってくる普通の会社員を頭に描いたことは黙っておいた。若い頃にビジネスのことで頭をいっぱいにして働きずくめで生きてきた彼は、時間があり余っている今、その使い方を知らない。彼の美学にアクセプトすることもできるけれど、わたしはきっとお金では幸せになることも安心させてもらうこともできない。必要なのは知性や教養など使っても使っても一生残る財産を持っていることだ。そして休日に公園で一緒に寝転んでいてくれたら、きっともう満足してしまうだろう。


Michelina |MAIL