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マーティンの会社へ電話をかけると、マーティンがでた。マーティンはマーティンでもわたしのよく知るマーティンではなく、とろけてしまいそうなくら素敵な声を出すマーティン。マーティンは席を外していると言われたので、言付けを頼んで受話器を置いた。
帰宅したマーティンに、電話に出たマーティンはどんな感じの人なのかと聞いてみた。う〜ん、トールでシンなダッチ・ガイ。あぁ!あの!例の家族思いの素敵なお父さんだね。そうか、きっと見た目も素敵なのに違いないと満足して床に入った。
以前働いた会社の同僚は、まだ見ぬ業者の男性を声から判断して、期待を胸に打ち合わせなどに出向いては、想像と大きく違ったと落胆して帰社した。わたしは自分に置き換えて考えてみた。わたしは声の素敵な人の見た目が悪くてもさほど落胆しない。だが、逆はまずい。素敵な見た目の人が甲高く大きな声など出したら気持ちも一揆に萎んでしまう。彼女のことを「声フェチ」と呼んでいたが、自分こそが無類の声フェチだったのだ。
マーティンは「よし、僕も素敵な声で電話にでる」などと言っていたが、なにせ彼の電話の出方は可笑しい。フルネームを名乗るのだ。わたしは友達と一緒に住んでいる人のフルネームを知らないが、わたしの友達はみんな彼のフルネームを知っている(笑)。