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二言目には"Vodkaは好きか?"とくるような典型的ロシア人のご近所さんに誘われて夕方彼の家にお邪魔することになっていた。
キャンベラには友達も身寄りもいないわたし達にこの坂の途中の人々はフレンドリーで常々感謝しているのだが、夕飯を食べてゆっくりとしてしまうとどうもそこまで親しくない人と会うのが億劫になる。だらだらと相談した挙句、今日はキャンセルさせてもらおうということになり、昼間に揚げた芋花林糖を子供へのお土産に持って彼の家のドアを叩いた。
パパが勢いよくドアをあけ"Come in!"と素早く手招きする。うろたえていると奥から12歳の娘がいつものようにはずかしがりながらも嬉しそうに顔を出した。ケイト・モスをもっとあどけなくしたような可愛らしい顔をしたおとなしいこの娘にただ見つめられるだけで、彼女の欲するあらゆることから逃げられないという気分になる。心を鬼にして「ごめんなさい。今日はちょっとBFが忙しいの。またの機会に誘ってね。」と吐き出した。「そうか残念だね。彼女は日本語を教えてもらうんだって君が来るのを楽しみにしてたんだよ。」と言うパパの後ろで道端に置き去りにされた子犬のような目をする娘。自分がすごく邪悪に思えてきたが今更後には引けない。後ろめたい気持ちで足早に立ち去ろうと踵を返す瞬間ぶらぶらと頼りなく手を振る娘を見てしまい、わたしは家までの登り坂を一揆に走った。