気がつきゃライブの時間だぜ
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2011年10月18日(火)   ◎「東京からまんまで宇宙」感想


 この曲は、「ワインディングロード」を聞いた後に聞いたわけですが、
 最初に思ったことは、
 「ワインディングロード」と同じことを歌っているな、ということでした。

 まあ、そういってしまえば、
 宮本さんの歌って 
 いつも結局は同じことを歌っているようにも思うんですが、
 この2曲は、どういうのかな、
 音が振動して伝わってくる、その空気が同じだと思いました。

 音も、振動もみんなよく似ている。
 そして、こちらに届く宮本さんの思いも
 それに乗せて よく似ている。

 つまりですね、
 この2曲の新曲の中で宮本さんが言いたかったことは
 とても大切なことだということです。

 だから、2回歌ったんですよね。


 歌詞の中でおもしろいなあ、と思ったのは、
 「似合いの夏」 「しびれる冬」 「期待の春」 という並びです。

 これ、この通りですよね、最近のエレファントカシマシ。
 なんで秋がないのかというと、
 わたしはこう思いました。
 この頃のシングルのリリース、秋が多いよなあ、って。
 秋は、この3つの季節を集めたものなんではないでしょうか。


 それから、
 『心はぐるぐる地平線』 と 『東京からまんまで宇宙』 が
 対になっていたことも興味深かったです。

 リアルに地平線をぐるぐる廻りつつも
 宮本さんの思いは 宇宙に舞い上がっていくんですね。

 そこの気持ちがこの歌詞から
 とても強く、また楽しげに伝わってきました。


 『舞い上がる』 の伸ばす音が音階をずり上がっていくのも
 舞い上がる実感、もっと舞い上がりたい希望が
 よく表されていると感じました。

 「友達がいるのさ」 の、
 『歩いていくぜ―』 で伸ばしてずり上げていく、
 あの部分を思い出しました。


 それにしてもね、POPなものを目指すといいながら、
 ちょっとこぶしを効かせたような節回し、
 エピックの頃の歌い方を彷彿とさせる 『そう!』、
 『頭にくるぜ』 とか、三丁目とか、
 〇スチルや 〇井堅ではあまり聞くことのない歌詞、
 宮本さんの中のPOPって
 ほんとに素敵。

 わたし、もう大々的に支持することを宣言します。


 わたしは、この歌をゴリゴリのロックとは思いません。
 どちらかというと 抒情的な歌だと思います。
 宮本さんの歌い方は とても力強いですが、
 後ろに流れる伴奏の音のやさしいこと。

 きっと宮本さんは、
 今までのように自分だけが突っ走るという美学から
 自分のまわりにいてくれる人たちのやさしさを感じながら
 その人たちのことを頭に浮かべつつ、
 自分の道を突き進むことの大切さを知ったのだと思います。

 (うわ、めちゃえらそうでごめんなさい)

 だから、こんなに清々しく、初々しい決意に聞こえるのでしょう。


 でも、わたしの胸が知らずに痛くなるのは、
 一番最初の、出だしのところの歌詞です。

 『光を目指すのはなぜ 蜃気楼がゆれている』


 宮本さんは、
 なんども蜃気楼に心を乱され、
 落胆したのでしょうか。

 そして、
 今でもまだそんなことがあるのでしょうか。

 それを思うと、なんだか悲しくなってきます。
 わたしたちに出来ることなんて
 なにひとつないのかな、と。

 だけど、また一方では、
 こんな悲しみがあるからこそ、
 宮本さんは、いつまでも宮本さんなんだ、とも思います。


 そうだなあ、
 こんな思いがもう12年も、
 ぐるぐる地平線を巡っているんだなあ、わたしも。

 エレファントカシマシからまんまで宇宙、だぜ。



   


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