この世のような夢

2008年03月18日(火)




ジプシーレッドの凄み








久々にいい映画をみた。身体がかたまり、画面からは目が離せず、泪があふれてどどまらなかった。── ロマ(ジプシー)の音楽にである。月並みな言い方だが、たましいに、きた。

ただ雰囲気を消費させるだけの「日本の、アメリカンな音楽(※)」とは違う。映画の中で絶えず訴えかけてくる、愛、にも、怒り、にも、人間の佇まい、にも、歴史の凄みや深みが感じられるのだ。

(※)較べるのもあほらしい。身体を使ってないんだもの(伝わるかな)。個性という自分を出そうとばかりしてる。

ジプシーには赤が似合う──

最後近くの場面でジプシー歌手のEsma(エスマ)が歌いながら喪の黒いベールを頭から外すシーンがあるのだが、そのときに見えてくるスカートの ' ジプシーレッド ' の魅力の何たることか! それは、ロマの苦難の歴史をはねとばすかのように力強く、誇り高く、もちろん、そこには、かなしさ、も、ある。

この映画は、カメラワークにも優れている。人物を撮る場合は一歩接近して撮れ、というのはショットの基本だが、本映画では、カメラマンのアルバート・メイスルスとアラン・ドウ・アローが一歩どころか三歩も四歩も人に接近して、もはや顔面すれすれである。たんにアングルとか美のパターンを求めるのではなく、人の哀れみ(・・のようなもの)を知る者にこそ可能な撮り方だと思う(犬すら、かなしくて、すばらしい)。映画の完成までに5年、編集には3年弱かかったらしい。


監督・脚本・プロデューサーであるジャスミン・デラルという女性にも注目したい。ホームレスの写真家のドキュメンタリーで学生エミー賞を受賞している。

映画の中では、ジョニー・デップが特別出演をしている。



ジプシークイーンと呼ばれるEsma(エスマ)。彼女の歌うさまがすごい。




彼女のCDのひとつ「クイーン・オブ・ザ・シプシーズ/エスマ」。残念なことに、古い曲のいくつかはレコーディングがとても悪い。







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