陽気も涼しくなり、読書欲も湧いて、久しぶりに ゆっくりと本を読みました。映画化で話題にもなっ ている 『のぼうの城』 です。伝奇小説ですから、 色々とご都合主義的に書かれた感は否めないものの
実在した成田家の武将がとても 上手にキャラクター設定されて いて、飽きずに読めました。逆に それがマンガっぽい感じにもなっ てしまっていますが、活字だけ で読む分にはこちらの想像力で いかようにも補えるのが小説の楽しみでもあります。 水の都のような忍城を水攻めにして落とそうとする 石田三成軍と、それを機知で耐え抜く成田長親らの 籠城戦は、当時の忍城を知らない人でも想像力をか きたてられ、読んだ後は忍城跡を訪ねてみたくなる でしょう。
今年、公開予定であった映画は津波被災者の心情 を酌み、来年に公開が延ばされました。おそらくCG を駆使したであろう忍城の再現に、公開が待ちどうし いです。飄々としてつかみどころのない成田長親役 を、野村萬斎さんがどのように演じるかにも期待が 膨らみます。公開まで、楽しみに待つとしましょう。
初版は2007年に上梓されていますが、現在は文庫 にも降りており、古本屋でも安く買えます。時代物に 詳しくなくてもその時代の心情が小説に上手く盛り 込まれていて読みやすい本です。読書の秋、時代物 入門にはうってつけですよ。でも、単行本でも厚い 本ではないのに文庫は上下巻なんですよねえ・・・ 版元さん、ちーとせこくありゃしませんかー。
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映画 のぼうの城 公式サイト
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