『数寄』 とは、好きが嵩じた状態のことをさす言葉と解釈 しています。何事においても、この域に達すれば道楽も本物! 古より数寄者といわれる人々は往々にして常軌を逸したかに 見える部分があるもので、お茶の世界ではやはり古田織部正 がその筆頭に挙げられましょう。
私の場合は麺の数寄に於ては人に後れ を取らぬと自負しております。あちこちで 触れ回っていることですが麺のどのような 状態も愛せます。勿論、生食や腐敗した物 は除外しますが、きちんと茹で上げたもの も、少々ノビたものも、一晩経って殆んど 飽和状態のものもすべからく味わい、楽しむことができます。 畢竟、見方によっては悪食ですが、世の中には案外そういった 麺料理も多いもので、例えば40分ほども茹でる 『伊勢うどん』 はその良い例ですし、『流しそうめん』 や 『わんこそば』 など も茹でたてを食しているとは言いがたいお料理と思います。 さらにスパゲティーサラダや、付け合せのショートパスタなども その部類でしょう。また、蒸し麺を用いる焼そばも、市販の 茹でうどんもノビていないとはいえますまい。加えるにコンビ ニエンスの 『小割り蕎麦』 や 『冷し中華』 といったお弁当 形式の麺などは、いくら新しいものを手にとったとしても既に ノビているのは周知のことと思います。
画像は昨日出稽古に持参した若林創作麺弁当 『おめんとう』 朝茹でた乾麺のうどんを水で洗い、水切りして弁当箱に詰め、 即席の沖縄そばのダシを添え、トッピングのホウレン草、ゆで卵、 きざみ葱を別容器に詰め、お湯を持参して現場で軽く調理すると いう正に数寄造りの一品です。この他にも冷やし中華、焼そば、 スパゲティー等々メニューは豊富です。
一般的な麺食いの皆々様からは理解に苦しむとさえ呆れられ ますが、判ろうとせぬ輩に何を説いても所詮は馬の耳に念仏、 私はひたすらに信じる麺道を突き進むのみです。麺の未来は 無限と信じます。いつか織部焼のような傾いた創作麺を世に 送り出して世間をあっと言わせてやりましょうか。 一笑一笑。
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