第66期将棋名人戦が終わりました。 第6局で羽生二冠が勝ち越し、名人位に返り咲きました。 全局を通して実に骨のある正統派の将棋で、見応えの ある内容でした。特に第三局の羽生二冠の脅威の粘り勝ち、 第五局の森内名人の堅い差し回し、そして昨日第六局の 羽生さんの鮮やかな手順、棋譜を並べて感じ入りました。
上記の三局はどれも 『相がかり』 と いわれる戦形です。先手も後手も飛車 を振らない居飛車(いびしゃ)の将棋は、 将棋の本道と言ってよく、見ていて気持ち のいいものです。特に昨日の将棋は先手 番の羽生二冠が序盤から堅実に駒を組み 森内名人の鉄板の受けを2筋から果敢に攻め、緩急のある 差し回しで堅陣に穴をうがち、同時に自陣を矢倉に固め 後手の攻めも手厚く受け、桂と角を巧みに使って相手玉 を寄せていくというお手本のような一局でした。 相撲で言えば相四つ両者土俵の中央でがっぷりってな按配 ですな。大山名人が活躍して以来、振り飛車も有力な戦法 として認知され、相振り飛車の将棋なども見ていてわくわく しますが、2筋と8筋で睨み合う相居飛車の将棋はやっぱり 将棋道の本義という気がします。
竜王戦に圧されて名人戦を軽んずるような発言をする輩も 見受けますが、今期の名人戦は実に重みのある対局だった と思います。お二方には、素晴らしい将棋を見せて頂き ありがとうございました。そしてお疲れ様でした。 また何がしかのタイトル戦で、ぜひともお2人の がっぷりよつの将棋を見せてください。
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