益子焼の人間国宝島岡達三氏が亡くなりました。 浜田庄司の直弟子で、民芸路線を踏襲した作家さんですが、縄文 象嵌(じょうもんぞうがん)という独自の技法を確立し、確固たる 地位を築いた気骨の作家であったと思います。
近年では林英哲さんとのコラボレーション で陶製の大太鼓を製作し話題を呼びました。 この春に益子へ行った時にはその小型版 を目にし、面白いことをやっているなあと 感心したものでした。享年88歳、小柄な 好々爺という印象の晩年でしたがお若い 頃の写真を見ると、どうしてどうしてトッポイ顔つきで煙草など をふかしていて、気鋭の陶芸家といった一面も垣間見ることが できます。
民芸運動は失速し、浜田・島岡に続く大看板は見当りません。 島岡先生のお弟子さんたちは民芸から多くを学びつつも縛られず に個人の製作を実践し評価を受けています。益子という町も最近 では伝統の窯業地というよりは都会に近い工芸村といった雰囲気 です。東京の大学を出た陶芸家志望の若者が流入し、益子焼とは 言い難い陶器を焼いています。ある意味では浜田率いる民芸一派 が良い意味でも悪い意味でもその嚆矢であったと思います。
益子の陶芸がどのような方向に向くかはいざ知らず、陶芸界の 星が1つ消えてしまったことには何ともさみしい思いがします。
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