『隠居の日向ぼっこ』で最後と思われていた杉浦日向子さんの 本が、もう一冊出版されました。その名も『杉浦日向子の食・道・楽』 これは、あちこちの出版社(主にNHKのテキスト)で細かく書かれていた 随筆をまとめた言わばオムニバスエッセイ集です。それを新潮社が一冊 に纏め、発売した模様、なかなか新潮社も粋なマネをしゃぁがりました。
内容は、食の章「ゴチマンマ!」(3分クッキング) 道の章「酒器十二ヶ月」(食彩浪漫) 楽の章 「きょうの不健康」(きょうの健康)の3本柱。 合間に『箸休め』として小さなコラムをはさんだ 小粋な編集です。偏食・呑んべえ・中堅不健康 を自負する筆者は、それなりの生き方を軽やか な筆で問いかけます。酒の呑みかた、飯のいた だき方、歳のとり方・・・どの方法論も無理の無い 自然体で、いかにもこざっぱりとしています。そして、至極の健康法 として銭湯を勧めます。<以下抜粋>
銭湯行きなさい、銭湯。理想的なハダカなんか、ひとつもない。 みんなでこぼこで、おもしろい。必要もないのに痩せたがったり、若造り するのに、金と時間を使うのは、不健康だ。その前に、十回銭湯に行くと いい。赤ちゃんもおばあちゃんも、きょう一日は一度きり。それぞれが、 それなりのカタチで生きるのが、個性だ。
おせっかいなご隠居のお小言が、じ〜んと沁みる文章です。 流石にこの本で、もう、いよいよ日向子節ともお別れでしょう。 断腸の訃報から一年、経ってしまえばあっという間の365んちですが、 新潮社さんのおかげで思いがけなくもう一冊にめぐり合えて、ちびっと 健康になったような気がします・・・
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