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2008年10月01日(水)   黄土色の背表紙の

『哲学者の密室』を読んでいて、大学図書館に並んでいた黄土色の背表紙のハイデガー選集を思い出す。あれは「毒された」のだ、と今は思う。未熟で無防備な精神は、次から次へ展開される強烈な否定と嫌悪にずたずたに切り裂かれ、病んだ。耐性のない愚かな精神によるハイデガーの中途半端な受容ほどたちの悪いものはない。とにかく便利な刃物だった。切れ味は最高に良かった。あまりによく切れるのでしまいには自分を切らざるを得なくなった。安易な至高性を確保するための、大袈裟な身振り。よくもあんな恥知らずなことを。

もしも時間が許すなら、もう一度ハイデガーをゆっくりと読んでみたい、とようやく思えるようになった。呪詛をこめて、或いは、愛をこめて。


nadja. |mailblog