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何か釈然としない。何かが欠けている。多分余計なことを言った。多分大事なことを言わなかった。何年分ものそんな思いが次々に訪れる。浴槽に湯をためて身体を沈める。ラベンダーの入浴剤を入れる。こわばった血の流れが、ゆっくりととけていく。なのに残る。いくつもの顔、言葉、におい、感触、温度、音楽。 それでも今日が雨で良かったと思う。私の涙はもう流れないから。溜息ばかり出る。いったい、何を、どうしたいのか。雨がしとしとと降る。ケトルがしゅんしゅんと音を立てている。濃い珈琲を淹れる。私のまわりに珈琲にミルクや砂糖を入れる男はいない。もちろん私も入れない。きっとみんな長生きしないね。 |