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2008年05月29日(木)   so what if your hero never was

国際電話から聞こえてきた頼りなげな声は本当におまえのものだったのだろうか? 少しだけ話していいか、と問う声は震えてさえいたではないか、あれほど私を苦しめた、すべてお見通しだと言わんばかりの嘲弄的な声はどこへ行った? 

おまえに認められようとして何度血を吐いたか。そんな声では、そんな歌では、とはねつけられて、何度泣きわめいたか。そのおまえが、今になって、私を、私だけを恐れていた、と言う。

おまえの翼を折った男が憎い。

まだ十四や十五のころに、おまえは私の裁定者として君臨し、以降絶対的な暴君として、或いは唯一の理解者として、ときには私を路上で殴り、ときには私に刃物を突きつけ、そうしてときには私を支えた。私は架空の物語のなかで、何度おまえを殺したか知れない。

そのおまえが、今夜、ただの女として。

なんということだ。


nadja. |mailblog