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2006年04月06日(木)   「読んでもらえるとうれしいです」

書店に立ち寄ると、入ってすぐのところに西加奈子さんの「きいろいゾウ」が平積みにされていた。どうやら先日サイン会のような催しが行われたようで、直筆のサイン本もビニールにくるまれて同じ棚に陳列されていた。

ふと、壁に貼られたポスターに目をやると、

「読んでもらえるとうれしいです」と、西さんの直筆で書かれてあった。

それは考えてみれば当たり前のことで、何も考えてみなくても当たり前のことで、たかがこんなサイトの、中途半端な文章であっても、「読んでもらえるとうれしい」、のである。

書くことは衛生学の範疇の問題である、だとかとにかく書きたいから書いている、だとか回りくどい文言でもって書く理由を色々と数え上げてみたこともあるけれど、結局核の部分にあるのは「読まれたい」という欲望であり、それはいくら回りくどい文言でもってオブラートに包んでも、そこかしこから滲み出てくる。日記才人やテキスト庵に登録していたり、エンピツの投票ボタンを置いていたりするのだから、あからさまに私は「読まれたい」のである。

「読まれたい」という欲望はあさましく、おこがましく、ずうずうしい、などというのは謙遜のように見えて実はいやらしい、逃げ腰の身振りであって、毎日毎晩時にはうあー書くことねー!! と頭を抱えながらもこうして更新をしている以上非常な労力がここに注がれていることは確かなのだから、

「読んでもらえるとうれしいです」

と素直になってみるほうがどんなにか、それこそ衛生学的見地からしてもすっきりしていることか。

そして私は西さんの素直な一言にひかれて、その装丁のかわいらしい本を手にとってレジに運んだ。


nadja. |mailblog