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それを失えば自分が自分でなくなる何かが確かにある。人間という生き物はしぶといから、何を失くしてもただ生き延びることはできる。きっと今が瀬戸際だ。ここで食らいつかなければ、ただ呼吸をし、ただ排泄し、ただ眠り、働くために食べ、食べるために働き、受動的な気晴らしに馴らされて、いつかやってくるはずの終わりの日に向けてのろのろと歩みを進めるだけの生ける屍に成り果てる。 半分壊死した眼球はあの人の言葉を滑らせてしまう。 それでも全力で抗うこと、巨大な渦の中に飲み込まれぬよう、腕にナイフを突き立ててでも此処でとどまること。猶予はもうない。 |