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2006年01月18日(水)   10年前

お皿を洗っていたら、ぼーっとしているからか、お茶碗が手から滑り落ちてしまい、割れた。割れたものは仕方ないので捨てようと思って、新聞紙を取ってきたら、今夜からはじまっていたらしいドラマのキャプションが目についた。

10年前に一番好きだった人はもうすぐ一番憎んだ女と結婚する。
10年前私は図書館に生息するかたつむりだった、今は図書館の匂いを忘れて久しい。
10年前すぐ隣にいたはずの友達は皆散り散りになった、皆自分の生活を保つことに忙しい。
10年前一番泣いた映画は多分「シラノ・ド・ベルジュラック」だったと思うが今はシラノの純情に冷笑を浴びせかけるだろう。
10年前から誕生日なんか楽しみだった覚えがない。
10年前から夜空なんか見上げない、天文学者に憧れていたのは小学生のころだ。
10年前にしていた恋はその頃既に偶像崇拝だった。
10年前になりたかった自分は本当なら5年前に命を絶っていたはずで、なりたかった自分になっていたなら今私は此処にはいない。
10年前から自分の居場所なんて何処にもないと思い続けていたしその思いは今も変わらない。
10年前に正義感や情熱を知っていたらこんな10年は過ごしていなかった。

私はこの10年間、ただ疎かに生きた。何もかもが手遅れに思えて、もう一つお茶碗を割った。


nadja. |mailblog