そして生まれる

真っ白な空間のなかを
一羽のかもめがとぶ
そのつばさに打ち込まれる一発の弾丸
ドキュン

真っ白な空間のなかを
一筋の赤色が飛び散る
その鮮やかな赤色が生きている証
ピチャン

真っ白な空間が真っ白でなくなると
そのさきには混沌が待っている
いや正確な記述をするならば
はじめからそこに混沌はあったのだ


真っ白な空間には上も下もない
なかったないはずだったみえなかった
というのに鮮やかな赤はひかりをあびて
徐々に変わってゆく黒を生み出していく

ゴトン
ゴトン
ゴトゴトン

歯車が傾く音が聞こえる
わずかな狂いを生み出した弾丸が
つきやぶった空間のゆがみを埋めるため

ゴトン
ゴトン
ゴトゴトン

歯車が傾く音が聞こえる
それは消えることのできない世界の悲鳴
かもめのなきがらをふたたび白へと還し
暗闇を排除するための痛切な叫び


ピチャン
混沌に呑み込まれた空間に黒が生まれたよ
もうすぐ大地が形成される

ドキュン
新しい弾丸がまた世界を切り裂いていったよ
もうすぐ次の混沌が生まれる






ぼくのせかいはひろがっていきます。ひろがればひろがるほど、ことばはふくらんでいきます。