月に舞う桜
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パスタとサラダとデザートだけで5時間半近く居座ってしまった。3時間くらいの感覚だったのに気がついたらそれだけの時間が経っていて、皆で心底驚いた。よくそんなに話し込んだものだ。 友人と一口に言っても、いろいろな時代のいろいろな立場の人がいる。小さな子供の頃から互いを知っている人、「多感な青春時代」というやつを共に過ごした人、互いに人格形成された大人として知り合った人。「私」という人間は一人でも、それぞれの時代の友人たちを話すとき、私の心のあり方も話す内容もさらけ出す部分も見せる顔も、少しずつ違う。どれが本当でどれが嘘ということではない。どれが私らしくてどれが私らしくないということでもない。私の中での友人たちの位置付けや彼らに見せる顔が少しずつ違っても、誰と接するどの時間もそれぞれに大切だし、それぞれに違った重みと意味がある。 今日、私は初心に返った。本当に初心に返ることができたのかどうかは分からないけれど、初心に返る必要があるとも返りたいとも思った。私の職業は産業カウンセラーではないけれど、少なくとも私は有資格者なのだ。だから、もっと人の話をきちんと聴けるようになりたいし、聴くことで役に立ちたい。でも、「うまく聴かなきゃ」と心が構えていては、聴けない。何も構えずに、まっさらな気持ちで耳を傾けること。そして、真っ直ぐに受け止めること。それを本当に心から「できた」と思えるようになるには、まだまだ時間がかかるのだろう。
ゴールデンウィーク真っ只中だけあって、横浜駅はいつも以上に混んでいた。駅のエレベーターには人がずらっと並んでいて、なかなか順番が来ない。 私の前にベビーカーが3台いる状態のとき、整理係の人が私に「お先にどうぞ」と言った。エレベーターというのは車椅子ユーザーだけのためのものではないし、優先順位で言えばベビーカーも同等だと思っている。だから一度は「ベビーカーの方も待ってらっしゃるので」と遠慮したのだけれど、係りの人は何度も「こちらに」と言う。何度も固辞するのも却っていたたまれないので、申し訳ないなぁと思いながら前に行かせてもらった。 困るんだよねぇ、こういうの。何が何でも車椅子優先! 見たいな風潮、誰か一斉に改めてくれんかね。先に行かせてもらうとき、ベビーカーを押すお母さんたちの視線に肩身が狭くなって、別に何も悪いことしてないのに「申し訳ない」と思って小さくならなきゃいけないあの感覚。 私は順番は守る主義なんですよ。それが社会ルールというものだと思うし、何より、私は周りに「ちゃんとした人」と思われたいのよ。「車椅子だからってずうずうしい」とか絶対に思われたくないのよ。 と言うか、あのエレベーターがもう少し広ければ、皆があまりイライラせずに気持ちよく使えるんだけどね。
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