パパが会社に行かない理由(わけ)

2005年09月06日(火) うつと主治医

 どんな疾患もそうかもしれないが、主治医との相性は大切である。
パパさんは発症当初近くて通えそうな心療内科をいくつか覗いて、気の合いそうなA病院に決めた。サバサバした感じのよい女医さんで、私も好感をもった。週1回、「調子はどうですか?寝つきはいいですか?昼間は起きていられますか?」といった淡々とした診療が続く。パパさんとしては「病院に行ったからといって、何か良くなるわけではない。薬処方してもらうだけだ。」とよく言っていた。
確かにすごいアドバイスがあるわけではない。魔法の一言で急によくなる・・・なんて事はまずない。しかし、調子の良い時も、悪い時も含め、パパさんの発言から身体症状まで事細かに記載されているカルテは付き合いが長くなればなる程、大いに役立った。
本人の言う言葉には波がある。うつの波に翻弄されるパパさんの主観のみに頼るとそばにいる私も波にのまれ今が病期のどこに位置しているのかさえわからなくなる。そんな時によく主治医の冷静な判断にはっと我にかえる事があった。
状況はなんら変わっていないのに、うつの調子によって『もう駄目ですモード』から『絶対あと1週間で治るモード』までつらつらと変動するパパさん。それに振り回されがちな私。そんな時は私だけで主治医に相談にいった。そして今のパパさんの状態を客観的な立場から説明してもらうと、どこか落ち着いて一歩ひいた立場から見守ることができた。
その主治医と約2年。買ったばかりの家を売却し、主人の実家に同居する事になるまで、常に冷静に私達を見つめつづけてくれた。転居にともない、転院(通院治療だったが)する事となりあいさつに伺った。
それまである意味1度も自己の感情を見せなかったその主治医がふと一人の人間の表情になり、「よくここまで頑張られてこられましたね。」と目に涙をためてくださった時、それまでのつらさがすーっと薄らいだのを覚えている。


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しゅう

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