とある町で
DiaryINDEXpastwill


2020年11月11日(水)

昨夜
娘が風呂に入っている間に
階下で先に寝ていた孫が起きて泣き出した。
まだ生後8ヶ月
2〜3時間おきに泣くのだ。

激しく泣くので、
降りて行って
抱き上げた。
娘が慌てて風呂を切り上げ
こちらに来る気配がする。

その僅かな時間
時間にして15秒くらいだろうか。
泣き止んだ孫の温かい小さな体を抱きしめて
この子を抱けるのは
これが最後かもしれないと思った。

子供に触らないで、とでも言うように
娘が
その子を置いて、と
言う。

置いて
上に上がった。

それ以来
一度も抱いていない。

意外だったのは
どんなに寂しいかと思いきや
そうでもなかったことだ。

もうどこか他人の
可愛い赤ん坊、と思うことにしようと
思ったら
そうできそうなほどだ。

私はおかしいんだろうか。
感情が冷たいのか
それとも
一時的に何も感じなくなっているのか?

抱きしめた孫の柔らかい温かい感触は
まだ腕に残っている。

これも
じきに忘れるのだろうか?
とくにこたえない。
ただ
感触が残っているだけだ。
強いて言えば
僅かな鈍い疼き。
バッドエンドの映画を見た後のような。
悲しい最後の小説を読んだ後のような。

何もかも
なくなっていく。
移ろって。
何一つ
以前のままのものはない。

私も
いつか消えて無くなる。

そうなれば
もう娘のことも
孫のことも
考えなくて済む。


久美

My追加