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■ 朝の風景【オールキャラ】
「あーもうやめてよねゼル」 降りてくるなりリナは嫌そうに顔を歪めた。ゼルガディスもうんざりしたように天井を仰ぐ。煙がふわりと食堂の中空に舞う。 「意外。リナ煙草きらいなの?」 リナの後ろから降りてきたアメリアは、自身も眉をしかめてたにも関わらず、今はリナの言葉の方に気をとられていた。 「意外って何よ」 「お酒もギャンブルもやるのに」 「実家が葡萄の名産地なんだもの。酒ぐらい飲むわよ。それから、カードゲームはギャンブルとは言わないわ。あれは知育ゲームよ。チェスと一緒。」 めちゃくちゃな論法にアメリアは肩をすくめて椅子に座った。隣に座りながら、リナが続ける。 「でも煙草はほんとダメなの。故郷のとーちゃんがヘビースモーカーで、あたしがまだ子供のとき冗談で顔に煙をかけてきてね、それで怒ったかーちゃんと夫婦喧嘩になって、もう大騒ぎ。あの地獄絵図を思い出すだけで……」 「……あぁ、そういうトラウマなわけね」 「でもとーちゃんはその後禁煙に成功したわよ。いまだに火のついてない煙草をくわえてたりするけどね。」 「なんかそれ、誰かを思い出すな」 「あらガウリイおはよ。で、そういうわけだからあんたも二度とあたしの前で煙草なんか吸わないよーに!」 最後に現れて席に座ったガウリイを殆ど気にも留めず、リナはテーブルに置いてある灰皿をゼルガディスの方へぐぐっと押しやる。 「おまえたちが起きてくる前には消すつもりだったんだ」 言い訳がましく言いながら、いやいやそうにぎゅっと煙草をこすりつける。灰皿の底を薄く焼いて、煙が途切れた。 「はーいゼルガディスちゃん、よく出来ました」 「やめろ」 「こんな嫌味言われたくなかったら何度も同じこと言わさないでよね。こいつ部屋の中でも平気で吸うのよ。」 不機嫌に腕組みを始めたゼルガディスから視線を逸らし、こちらも不機嫌な顔でアメリアに向き直る。 「信じられる? 狭い部屋いっぱいに煙草の臭い! 勢いあまって風魔礫圧破唱えちゃったわよ、あんときは。」 「なに、あなたたち一緒の部屋に泊まったことがあるの?」 「そりゃ部屋がひとつしか取れなきゃそういうこともあるわよ。てゆっか驚くとこそこ?」 「なぁ、そんなことより早く朝飯注文しようぜ」
煙草を吸うゼルと、煙草嫌いなリナと、刃の先エピソードのとーちゃんと、意外にもそれを覚えてるガウリイと、3人で旅をしてた頃のことを知らないアメリア。 何気ない朝の風景とそんなことが書きたかっただけです。久しぶりのスレイなのでリハビリリハビリ。
2006年01月01日(日)
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