まゆのウォーキング、ぼちぼち日記

2009年03月13日(金) 自殺をしようとしたそのとき…奇跡が!「奇跡のリンゴ」より

今日も昨日からの続きになります。
今日も、この本からの紹介です。






「奇跡のリンゴ」より

木村さんの人柄が出ていて、
心があたたかくなります。





さて、昨日からの続きです。
木村さんは、6年間も必死の思いで
いろいろとやってきても、何の効果もなく、
万策尽き果て、山にロープを持って、
自殺しようと決意します。
そして、そのロープを枝にかけようとして、
勢い余ってあらぬ方向へ飛んでいきます。
木村さんは、こう思います。



「この期になってもへまをする。
 なんて駄目な男なんだ」




そう思いつつ、そのロープを拾いに
山の斜面を降りかけた、その瞬間、
木村さんは、あるものを目にしました。




月の下にリンゴが
あったのです。
そして、そのリンゴは、
魔法の木のように、
輝いていたのです。





葉の1枚1枚が、満月の光に照らされて、
輝くのまではっきりと見えたといいます。
そして、それは、のびのびと枝を伸ばし、
すべての枝にみっしりと葉を繁らせていました。
そのとき、木村さんは、
さらにこう思います。



「誰が、農薬を撒いて
 いるのだろう?」と。




しかし、ここは深い山の中。



「農薬なんて撒く人は
 いないはずだ!」




脳天を稲妻で貫かれたように、
そう気づき、そのリンゴの木のところに
走っていきます。
心臓を高ぶらせながら。

走っていってみると、
それは、リンゴの木ではなく、
ドングリの木であることがわかりました。

しかし、ドングリでも何でもよくて、
どうして、この山奥で、農薬もかけないのに、
こんなに立派な木になるかということが不思議でした。
この木々たちは、農薬もかけてないのに、
葉は健康だし、実もびっしりとなっている。
虫も、病気もの菌があるのも同じなのに…
そして、はっとします。




「自然の植物が
 農薬の助けなど借りずに
 育つことをなぜ、
 不思議に思わなかったのだろう。
 ここに答えがあるのだ」
と。





そして、この木々たちを我を忘れて、
観察し、決定的に違うことを発見します。
決定的に違うこと…それは、



雑草が生え放題、
地面は足が沈むくらい
ふかふかで、
土が全くの別物




ということでした。
その瞬間、木村さんは
気がつくのです。




「土だ!
 土が違うのだ!」と。





そして、この土を無我夢中で掘り、
匂いをかぎ、口の中に含み、
土の感触を確かめました。
そして、さらにこう気がつくのです。



「自分は今まで、リンゴの木の見える部分だけ、
 地上のことだけを考えていた。
 目に見えない、リンゴの木の地下のことを
 考えていなかった。
 堆肥を与え、養分を奪われないように、
 雑草を刈ることしかしてこなかった。
 葉の状態ばかりが気になって、
 リンゴの根のことを忘れていたのだ」




ついに、答えを見つけ出した
木村さんは、踊るような気持ちで、
山を下ります。

帰りの遅いことを心配した美千子さんと
子どもたちが畑まで様子を見にきていたのですが、
木村さんがあまりに意気揚々としていたので、
狐につままれたような顔をしたそうです。




さて、答えを見つけた木村さんは、




「自分にはもう
 何もできることはないと、
 思っていたが、
 何も出来ないとおもっていたのは、
 何もみていなかったからだ。
 見えないものを見る、
 努力を忘れていた」





と、万策尽き果てたと思っていたことが
ウソのように、土を調べ始めます。
あちこちの土を掘り返し、
山から土を持ち帰り、研究に研究をかさねます。

比べてみると、木村さんの畑は、土が硬く、
山のような匂いもせず、土が違うことが
はっきりとわかりました。
土の違いは、その土の中にいる、
微生物の違いであることも突き止めました。





《7年目》


リンゴの木を丈夫にするには、
山の土にするしかない、と考えて、
この土づくりをしていきます。
もちろん、山がそうであったように、
雑草もそのままにしました。

木村さんは、家計を助けるために、
キャバレーで働きます。




《8年目》




無農薬を始めたときには
800本あった木が、
400本くらいになっていましたが、
新しい枝をだし、そして、
なんとその中の1本の木が、
7つの花を咲かせたのです。
そして、そのうちの2つに
リンゴがなったのです。





このリンゴは、神棚に上げて、
それから家族全員で食べたそうです。
そのリンゴの味は、




驚くほど、
美味しかった、
そうです。





《9年目》


畑一面にリンゴの花が咲きました。
夫婦でその光景を目のあたりにしたとき、
言葉も表情も忘れて、自然に涙が流れてきて
ただ、その場に立ちつくしたとか。
そして、このリンゴたちは、
ピンポン玉のようなリンゴをつけました。


もちろん、こうして実のったからといって、
すぐにこのリンゴが売れるわけではありません。
20代でリンゴを作り始めた木村さんは、
すでに40を超えていました。
このリンゴを大きくしたり、
売れるところを探し、木村さんの苦労は続きます。
そして、あらゆることをして売り込みます。
そして、徐々にお客さんが増えていったのです。

土の改良をしてから、
リンゴの木たちは、元気になりました。
雑草も虫も種類が増えました。
何千種類もの生物が互いに、競争したり、
依存したりしながらも、互いに自然の中で
共存し、土作りに協力しているのだと、
木村さんは言います。



「農薬を使わなくなってわかったことがあるのな。
 農薬を使っていると、リンゴの木が病気や虫と
 戦う力を衰えさせてしまうのさ。
 楽するからいけないんだと思う。
 クルマにばっかり乗っていると、
 足腰がよわくなるでしょう。
 同じことが起きるわけ。
 
 それでな、リンゴの木だけじゃなくて、
 農薬を使っている人間までもが、
 病気や虫に弱くなるんだよ。
 病気や虫のことがよくわからなくなってしまうの。
 農薬さえまけばいいから、病気や虫のことを
 ちゃんと見る必要がなくなるわけだ。
 人のことを言っているんじゃなくて、
 この私がそうだった」




さらに、こんなふうに言っています。



「人間にできることなんて、
 そんなにたいしたことじゃないんだよ。
 みんなは、木村はよく頑張ったって言うけどさ、
 私じゃない、リンゴの木が頑張ったんだよ」




ということで、木村さんは
「奇跡」とも言われるリンゴを作り出しました。
そして、先日も書いたとおり、
現在では、ほとんど手に入らないリンゴとなりました。

現在の木村さんはというと、
日本だけでなく、外国までも農業を教えに
いったりするような有名人となりました。
しかし、現在でも、生活はあくまで質素で、
リンゴづくりをしているそうです。
いろいろな研究をしながら。




そして、何より、
木村さんはよく笑う人で、
(本の表紙のように)
その笑い声はとても陽気で、
濁りがなく、あたたかいそうです。
会ってみたいですね。





私は、この本を読んで、
リンゴだけじゃなくて、
人間も、見えていない部分が大切で、
それをしっかりとしていかないと、
強くはなれず、誰も支えてもいけない、
と、感じました。
また、木村さんは、
リンゴの木から選ばれた人で、
天からもそう指命を受けた人なんだと。

この本には、
木村さんの心に響くことばが
まだまだたくさん書かれています。
ひとつひとつが心にしみてきます。
また、周りの方々とのエピソードも、
こんな人たちもいるんだ…と
心があたたまるものが多いです。

機会があれば、
ぜひ読んでみてくださいね。





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