まゆのウォーキング、ぼちぼち日記

2006年12月03日(日) このおじさんは、何をしたのか?

先日、外出先から帰宅途中、
最寄り駅に降り立ち、とことこと歩いて、
自宅に向かっていたら、近くの
ドラックストアの前で、
めざとく見つけてしまった。


「あっ、お巡りさんと、
 怖そうなおじさんだっ。
 しかもお巡りさん3人もいるぞ」




こっ、これは、何かある。 

こんな時には、家に帰ることより、
まずは、参加である。
私は、大急ぎでドラックストアに向かった。

なんだ、なんだ?



そして、ドラックストアに入る振りをして、
いったい何がどうしたのか、
このおじさんが何をしたのか、
お巡りさんとおじさんのやりとりに
聞き耳を立ててみることにした。

しかし、あまり近づくと、
もしかしたら、聞き耳を立てていると
知られて、この怖そうなおじさんに
にらまれてしまうかも知れない。
私自身が「やじうま」だと認識されて
しまうかもしれない。

実際は立派に「やじうま」だが、
一応私にもプライドはある。
できれば、「やじうま」とは思ってほしくない。
ただの通りすがりの人か、買い物をしている人
として存在していたい。
なので、さりげなさと、距離感が
非常に大切になる。

しかし、すると、問題がある。
ここは大きな道路なので、車が通る音が
うるさくて、話していることが
あまりよく聞き取れないのだ。


距離の取り方が微妙である。 


そこで、もっと近寄りたいが、
これ以上無理だというところまで、近寄り、
ドラックストアの外にある商品をさりげなく
見るふりをしながら、聞き耳を立てる
作戦を立てた。




すると…
ああ、よかった、ちょっとは
話が聞こえる。
断片的だけど…ね。 


そして、こんな話が聞こえてきた。



「免許証とか、あるのかい?」
「そんなものはないよ。オレは、言わないよ、
 名前も住所も…」
「車持ってないのか?」
「ああ、持ってないよ。そんなもんは」

「ああそう、じゃ、車で来てるんじゃないんだ。
 じゃ、身分証明書とか今持ってる?」
「持ってねえよ、ちょっと買い物にくるのに、
 そんなもん、持って歩くのか、必要なのか?」
「いや、持ってないかなと思ってさ」
「持ってねえよ、それに、
 オレは言わないよ…名前なんか。
 何をしたわけじゃないんだからさ」


おじさん、どうやら名前と住所を聞かれたらしい。
しかし、おじさんは言いたくないらしい。
何もしてない、などとうそぶいている。


なにもしなかったら、お巡りさんに
こんなふうに、囲まれることはないはずだ。
何かやったに決まっている。

いったい何をやったのだろう、このおじさん。
私は、このおじさんが何をして、
これからどうなるのか…
見届けねばなるまいと、決心していた。



ただ、なかなか話し声が聞こえてこない。
さっきも言ったが、ここは大きな通り沿いなので、
車が信号で止まって、
静かな時には聞こえるのだが…


ああ、知りたい!
このおじさん、いったい何をして、
こんな風に囲まれているのか…



私としては、この2人の中にわって入り、
「このおじさんは、何をして、
 いったいお巡りさんとしては
 どうするつもりなんですか?」
と聞いてみたい。
しかし、そういうワケにはいかない。
非常に、残念である…



また、お巡りさんの声が
聞こえてきた。



「なんかちょっとなまりがあるな…九州か?」
「いや、鳴門だよ、出は。」
「南の方だと思ったよ。鳴門か…四国だな」
「ああ…もう大分帰ってねえけどな」


どうやら、このおじさんは、
鳴門の出身らしい。
話を聞いているのは、3人のお巡りさんのうち、
いちばんベテランという感じのお巡りさんで、
とてもフレンドリーに、さりげなく
おじさんに質問をしていた。

ふぅーん、こんなふうに、聞くんだ…
こうやって、きっといろいろと
ヒントを得ているのね…

残りの2人のお巡りさんは、
無線でどこかと交信をしながら、
話あっている2人を見守っていた。



また、やや、聞こえないところがあって、
次に聞こえてきたのは、
驚くべきことだった。
私は、思いきり聞き耳を立てた。



「そりゃ、おれだって、悪いことしたよ、
 刑務所にも入ったことあるしな…」
「ああ、あるのか?」
「ああ、あるよ、ちょっと前に、
 刑務所から出たばかりだよ」


「え、いつ出てきたんだ?」
「2年くらい前だな…」
「どこの、刑務所にいたんだ?」
「府中(と言ったような気がする)だよ」
「何したんだ?」
「ただの、賭博だよ、別にたいしたことじゃ
 ねえよ。と、ば、く、だよ」
「ほぅ、と、ば、く、か」
「でも、今は、悪いことはしてねえよ」
「うん、今はな…」


ベテラン風のお巡りさんは、おじさんの
口調に合わせて、うまく情報を聞き出していた。
このおじさんは、刑務所に入っていたのだ。
「と、ば、く、」でね。

確かに、そんな風情を
漂わせているこのおじさんは。
また、車が動き出し、声が全く
聞こえなくなったので、
今度は、写真を撮るべく店内に入ることにした。

そして、ものすごく自然に、
(実際は見え見えだったかもしれないが)
携帯メールを打つふりをしながら、
気づかれないようにしながら、
シャッターを押した。



カシャ… 


大きな音がした。


でも、大丈夫。


車の音が大きいからね。



それが、この写真。
なんとか、撮ってみた。





2年前に刑務所から出てきたこのおじさんは、
いったい、何をしてこんなふうに
お巡りさん3人に囲まれているか?

この続きは、明日書きますね。





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