『呪縛の蝋』の関係で少し確認するために「鈴虫」と「横笛」をwikipediaで調べたら両方とも「源氏物語」の解説につながりました。(源氏物語でそういう名前の章があるんです)
いや、それだけなんですけどね!? まったく意味もオチもないんですけどね!? ただ、雅(みやび)な偶然だなー、と。
というわけで、この土日に原稿を進め、『呪縛の蝋』を完成させました。一応、短編のつもりだったのですが、30×40で81枚、原稿用紙換算で200枚以上は短編とは言いがたいということで中編くらいの長さにはなっております。 書き始めたのは5月からなので、大体3ヶ月で書き上げたことになるんですね。何か最近はどっぷり漬かりすぎててここ数年ずっとこれを書いていた感覚なのですが。
とりあえず『呪縛の蝋』の読後感ならぬ著後感はあとがきに書いておきましたので、作品自体の話はこれで終わりにしましょう。
で、今日は、ミステリーを書いてみて、何が重要かと思ったかを述べてみたいと思います。
【ミステリーを書く話】
ミステリーを書くのは相当な技量を要する。 これが、私が今回『呪縛の蝋』書くにあたってそのことが大変実に染みました。
僕の読む本に、ミステリーはあまり混じっていないのですが、それでも“謎解き”の場面はそこかしこに見られます。つまり、伏線を消化するとどうしても謎解きの要素が組み込まれることになるわけです。 そして、その伏線の消化と共に、物語の中での状況がぐるりと変わっていくのがフィクションの大きな醍醐味のひとつだと思います。それだけに、その“謎解き”があまり納得のできないものであると、その醍醐味は大きく失われるものだと考えております。
その謎解きによる醍醐味を極限まで前面に出したものがミステリーなんだと思います。だから、この醍醐味を失ってしまえばまったく味のない話になる、それがミステリーです。
だからミステリーを書くにあたって気をつけなければならないと思うのは次の3つだと思います。
1、謎はより不可解に。
ミステリーの第一歩は読者に「なぜ?」「どうして?」「本当にそんなことができるのか?」と思わせることです。 その謎が解けたとき、より大きな衝撃を与え、いわゆる「スッキリ感」を与えるためには、その謎がより深く、より不可解であることが求められます。そして、ただ、その状況を淡々と描くのではなく、演出などがあれば、読者の「謎への感情移入度」が高まり、より効果的になるでしょう。
2、伏線はさりげなく巧妙に。
推理モノで解決編に入るまでノーヒントの状態でいてはいけません。謎解きに入ったとき「このとき○○は××だったが、実は△△だったんだ!」と、いうように、問題編のなかで伏線を張っておかなければ、「あ、そういえばそうだった」「なるほど、あのときのアレはそういうことだったのか」などと、読者の謎が解けた感動を誘うことはできません。 よって、謎解きをより充実したものに仕上げるには、謎と答えだけではなく、ふんだんにちりばめられたヒントを潜ませておく必要があるのです。
ですが、伏線を張ったおかげでそれをヒントとして物語の謎を解けてしまうと、ミステリーは先の読める死んだ話となってしまいます。 ですから、伏線は“あとで読み返せばハッキリ分かる形で提示されていながら、初めに読んだときには気付かない”のが望ましいのです
それにはいろいろパターンがありまして、まず“知識系”の伏線。その伏線を理解するには、その伏線に盛り込まれたマニアックな知識を必要とすることです。 たとえば、とある話でパフィオペンディラムという洋ランが出てきます。そして伏線の時点で、この「パフィオペンディラム」という花の名前がしっかりと出てきているのです。 ところが、ふたを開けてみると、“このパフィオペンディラムという花はワシントン条約によって輸入出が制限されている花なので、ここにあるのは不自然である”ことが明かされたのです。 このことは伏線の時点ではパフィオペンディラムという花のことを知っていなければ理解できないし、知っていたとしてもワシントン条約のことにまで気が回らないかもしれません。
また、“さりげない系”の伏線もよく見ます。 たとえば、とある話で、雪に閉ざされたとあるロッジを舞台にしたものがありました。その中で、青々と茂った観葉植物が描写されます。遭難した主人公を迎えたオーナーはその観葉植物に毎朝水をやるのですが、これも謎解きの段階において、“こんな一年の内のいくらもすごさないロッジで生の観葉植物があるわけがない”ことから、それを知らずに水をやっていたオーナーが偽者であるということを見破るのです。 確かに、当たり前のように描写されていて気付きにくいのですが、「考えてみれば確かにそうだ」とあとから思える伏線です。 また、ミステリー漫画ですと、この“さりげない系”が非常に効果的に使用されます。文章ではなく絵の中にさりげなく描くだけで伏線が張られるのですから。
3、謎解きはより明快に
そして、読み手がもっとも楽しみとしている謎解きは、それだけに期待感が高まります。それをいかに裏切らないかが謎解きのシーンです。また、作者がもっとも書きたくて仕方のないところであり、筆がのるため、もっとも読者の視点が見えづらくなるところなので、書くためにもっとも注意が必要です。
これは、まず“謎”を演出する時点から気をつけなければならないのが、「問題ははっきりとしておくこと」です。 「犯人は誰なのか」「犯行はどうやったのか」「その根拠は何か」などと、何が問題なのかハッキリしておかなければ、謎解きをしてもあまり納得は得られません。
そして、その謎が解ける瞬間はなるべく短く劇的であるといいでしょう。謎解きが長くなると、先を読まれることになってしまいますので、先が読まれないうちにさっと片付けるのが基本だと思います。 また、説明は誰が読んでも理解できるように、明快で理論的である必要があります。せっかく謎解きをしても読む人がそれを理解できなければ、まったく意味がなくなってしまうのです。
web拍手レス(上記の事柄は『呪縛の蝋』に生かされているというわけではなく、書いている上で思いついたことを書いただけです。ま、つまり反省事項というやつですな)
何かweb拍手の解析ページのほうに問題があるようで、表示されませんが、数日前にあったコメントで、「就職活動無理しないでくださいね」との優しい言葉を下さった方がおられました。
以下、レス
ありがとうございます。就職活動への具体的な行動を起こし始めた一月末から半年以上経ってしまいました(汗)。 流石に疲れて参りましたが、今は志望度の高い会社3つほど、全て一次面接を通るという好調ぶりを見せてますので、これで決められればいいな、と思います。
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