読書記録

2026年03月28日(土) BUTTER / 柚木 麻子


 男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)。若くも美しくもない彼女がなぜ──。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳に〈あること〉を命じる。その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。


 この物語の主軸はタイトルにもあるバター。バターはふつう料理を支える脇役として扱われる。ところがこの物語では、それが味覚の中心に置かれる。しかも単なる美食の演出ではない。濃厚さ、舌触り、熱で溶けていく変化までが、人物の欲望や心の揺らぎに接続されている。食べ物の描写が、そのまま人間の内面や事件の不穏さを語りはじめる。私のようにバターとマーガリンの区別も知らずに育ってきた人間はバター醤油ご飯もたべたことがないのだ。


















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