どれも短編ながらとても面白く読んだ。 ほとんどを女性を主人公として、今の私たちにも共通するような視点で書かれている。 作者があとがきにも記したように、どの人生にも火花の一瞬があるのだ。
○ 日輪が薧す・・・。 太陽が死ぬ。 日輪の異変は「・・・凶事の前兆だ」 大宝二年(702)十二月二十二日、持統太上天皇崩御━。 文武天皇が二十五歳の若さで崩御したのは、その五年後のことである。
○ 迦楼羅のくちばし 紀竈門娘は、文武天皇が即位するのと同時に後宮に入って皇子を産んだ。 首皇子を産んだ宮子だけは産後の肥立ちが悪かったものの、不比等の娘ということで最高の身分を与えられていた。
○ 上官婉児 弁正は八年前に日本から学問僧として長安に来たが唐人の娘と愛し合い商人になった。 上官婉児は卑しい婢の身から後宮で上から二番目の高い身分にまでなった。 そんな上官婉児は弁正に友人の李隆基に葦后一派の誅殺を唆すのだった。 そして李隆基は玄宗皇帝となった。
○ 羽人 玄�靴脇鷭銃鷓个把弘造僕茲導悗屬戮�ことはすべて学び終えたという確信を持ったものの、 ━漠然とした焦燥と、飛び立つような望郷の念との狭間でもがいていた。
○ 朝靄 菅原寺で育った早蕨は一九の時、寺に出入りする若者を知り合い女の子を産んだ。 家庭のぬくもりを知った幸せな時だったが「積善藤家」の木札をつけた荷車にひかれて夫と子を失った。 夫と娘の死は光明皇后に直接の責任があるわけではないが、憎悪の対象を求めなければ生きていけなかった。
○ しゑやさらさら わが背子が来むと語りし夜は過ぎぬ しゑやさらさらしこり来めやも 甲斐性のない夫に愛想をつかしていたころ、その夫に地方の国庁への昇進の辞令が出た。 田舎暮らしを断ろうとはしたがその夫がそれなら別の女を連れて行くというので、 俄かに同道することに決めたのだった。
○ 龍になった皇女 聖武天皇の娘である井上内親王とその子の他戸親王のことは、ほとんどが一行か二行でさらりと流してあるのだ。 同じ時代にいた称徳天皇や桓武天皇の影というか日の目にあたらぬ存在に思えてならない。
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