読書記録

2007年09月13日(木) 杖下に死す             北方 謙三



幕府のお庭番を統率する家柄で勘定奉行にまで昇りつめた村垣定行の
妾腹の子である浪人光武利之が主人公。
その利之の目を通して、大塩平八郎の乱が書かれている。
だが大塩平八郎の乱そのものよりも、利之と平八郎の養子格之助との
友情がテーマだ。父の正義に殉じようとする格之助。
利之は友を死なせたくないと思いながらも、一方で友が「生ききる」手助けをしてしまうのだ。立場も生き方も違う二人が惹かれ合う。
格之助が父の平八郎とともに
『抱いた思いは、たとえ杖下に死すとも、やり遂げたい』と、
自決したあとに、武士を捨てて料理人となる利之が友の格之助に食べさせたかったと鯛をさばくシーンには私もジーンとなってしまった。




樹、静かならんと欲すれども、風やまず
子、養わんと欲すれども、親待たず

      風樹の嘆






















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