私は母と西川貴教の運転するホバーカーに乗っていた。 母は大学受験を控えた私に小言を言う。 私は、性格の悪い姉がいるからイライラして勉強に身が入らないんだ...と愚痴をこぼす。 それを聞いていた西川貴教が、運転席から身をよじって私にブルートゥースイヤホンを片方だけ渡す。よく見るとそれはピンクに塗装されていて、小さな文字で「泣きたい時」と書かれていた。 西川貴教は「テン上げしたい時、ってのも有って聞き分けているのさ」と前方を見ながらにこやかに話す。 私はイヤホンを着けてみた。頭の中にTMRの楽曲が流れ込んだ。 ホバーカーは停車して三人は道の駅に入って食事をとることになった。 私達は全て蒟蒻で作られたイミテーション魚定食を頼んだ。 ふと気付くと私はイヤホンを紛失していた。 それを知った西川貴教は酷く落胆した。 罪悪感に包まれた私は恐々「あのぅ、あれお幾らしましたか?」と聞いてみた。
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