僕は今、2LDKのアパートに住んでいる。
今のアパートに住み始めたのは、今年の1月末からで、引っ越す前は仕事の関係で東京に住んでいた。
独り者なのにどうして1Kでなく2LDKにしたかいうと、僕は近いうちに結婚をしようと考えていて、そうであれば、とりあえず1Kを借りて結婚したら2LDKに住みかえるということをするよりも、初めっから2LDKを借りてしまった方が、余計な敷金礼金や引っ越し代を払わずにすむからお得だ、と考えたからだった。
その考えは、最初はいいアイデアだと思ったのだけれど、今となっては少し早まったかと後悔している。僕のうつ病の回復が遅れ、仕事が続けられるかどうか分からなくなった今、結婚はいつになったらできるか分からず、おそらくは当初思っていたよりももっと先のことになることが決定的になった以上、1Kよりもかなり高い家賃を払い続けるのは無意味でしかない。それにいざ住んでみると、独りで住むには広すぎて、寂しい感じがして落ち着かない。
今くらいの家賃を払い続けるのであれば、いっそのこと家を買ってしまった方がお得なのかもしない。近頃はそういう考えも浮かんでくるようになった。
すると俄然、空家や土地の情報に敏感になってくる。
そんなわけで、今日は広告でたまたま見かけた新築物件の内見会に行って実際の物件がどんなものか見てきたのだった。
その物件を建てた人はお金持ちだったらしく、風呂や什器、家の作りそのものに随分お金をかけていて、全体的に凝った作りになっていた。
案内してくれた業者によれば、坪単価は40万代半ばほどで、平均よりは少し高めなのだという。
自分が建てるときはもっと低い坪単価になるだろうと思った。もし本当に建てるとすれば、だけども。
不思議なもので、家を見ている内に、欲しいという気持ちはどんどん高まっていき、また業者の話を聞いている内に、自分にも建てられるのでは、と思い込むようになってくる。
このまま勢いで買ってしまいそうな自分がいるが、今度こそ後で後悔しないような選択をしなければ、と自分を戒めた今日だった。
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