コミュニケーション。
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2008年07月11日(金) ハムレットには及ばないけど、悩んでみる。






「早く俺と一緒に住みたいのか?」



このとき優ちゃんは笑顔で、機嫌もよかったので、
あたしも笑ってこっくりと頷いた。


そしたら優ちゃんは、あたしからちょっと離れて、


「弟が可哀相じゃないか」


と笑いながら言った。
あたしの笑顔が消えたのは言うまでもない。
その気持ち、まだ持ってたの?





話は、それ以上拡がりはしなかった。
優ちゃんの気持ちは、まだ聞いてない。
だけど、何を言いたかったのか、くらいわかる。


言いたい、とまでもないとは思う。
もう決まってることへの、些細な悪あがき、のほうが近いだろう。
「やっぱり生まれるまで同居したくない」
とはっきり言うつもりは、ないのだろう。
正直な優ちゃんだから、お見通し、だ。





そんなに住みたくないんなら、もう泊まりに行きたくない…
と最初に思った。
住みたくない具体的な理由があるなら勿論だけど、
特になくて、生活変わるのが嫌だ、って理由でも、行きたくない。
私は疲れちゃったの。


今は、木曜日と土日に泊まりに行く。
週の半分ずつ、移動しているようなもの。
もういちいち荷物を詰めるのも疲れたし、
「7月ぐらいから同居できるだろう」って家族に言ってあったから、
浮いてきたし、
家族と生活リズムが違うし、
早く一緒に住め、っていう母親がうるさいし、
もうそれならいっそ、生まれてからにするから、
って決めたほうがマシ。


いっそのこと一人暮しがしたい気分にさえなる。
それなら、どっちにも気兼ねなく暮らせるのに。
人生で初めて思った。




そんなに暮らすのが嫌なら、もう泊まりに行かない、
って言おう言おうと思ってた。
そういうときに限って、優ちゃんは1日仕事に追われてて、
言い出すどころではなかったりする。
忙しくて機嫌も悪いから、いい話し合いも期待できない。
じっと待っていたら、
優ちゃんから先に言われた。

「木曜、泊まりに来い」

って。




木曜泊まるのは、既に習慣なんだけど、
毎週約束をするのが優ちゃんと私で、
今までの私は、そのたびに笑顔で「うん」と返していたのだった。
でも今回ばかりは、そうできなくて、
「どうしようかな」と返した。


「何か予定があるのか」
「ないよ」
「うそつけ、来れないんだろ」
「うそじゃないもん。何にもない。けど…」


泊まりに来い、って言うってことは、
私と一緒にいたくないわけじゃないんだろうか。
愛想がついてるわけでもないんだろうか。
一体、今私をどう思ってるんだろうか。

でもそんなことに関係なく、来いと言われたら行きたくなる。
板ばさみだとか、移動に疲れたとか、
そういうことじゃなくて、
私は優ちゃんと一緒にいたいんだとわかってしまった。



「…迷惑じゃないなら、行く」

「…迷惑じゃないよ」



優ちゃんは、私の気持ちがちょっとだけわかったようで、
その日は、いつもだけど、いつもより優しかった。




当の木曜は、いつもどおり過ごした。
一緒にいたいけど、優ちゃんが同居は嫌で、
今のままの状態でも、私を嫌いなわけじゃない、と言うのなら、
もう生まれるまで3ヶ月もないのだし、今のままでもいいよ、
と言おうかと思った。

でも、結局、寝る直前まで言えなくて、
直前も、優ちゃんの後姿を見てたら、どうしようもなく寂しくて、
涙が出て、
私の気持ちは思い切り矛盾してるから、言えないなぁと思った。
好きだから一緒にいたい、
好きだから優ちゃんを優先したい…
どっちをとるか、覚悟をしてから、話し合おうと思った。





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雪絵 |MAILHOMEBLOG

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