コミュニケーション。
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2007年09月30日(日) 甘えてばっかり。







そんなことは初めてだった。
あたしは生娘のように呆然としてしまった。


服を着て、
電気を消して、
優ちゃんが寝転がっても、
座ったままでいた。


「何泣いてるんだ?」



泣いてるんじゃなくて、泣きたくって
でも泣けなくて
謝れないことが辛くて
どうしたらいいのかわからなくて


わからない?
藤原君から散々冷やかされるあたしがわからないって?
本当にわからなかった、
その場でどうしたらいいのか




「元気なマリに戻ってくれよ」




優ちゃんはそう言って
強引に腕の中にもぐりこんだあたしに、それでいいと言った。




「ごめんね」



彼が何と返したか覚えていない、でも、
そんなこと言うな、って意味のことだった。



「うん、だから1回しか言わない、おやすみ」



いつものように寝る前のキスをして、
暑いでしょうと彼から離れた。
背を向けたら涙が零れた。


彼が悪いんじゃない、
あたしも悪くない、
でも泣きたかった。





彼の家で、
これほど悲しくて泣いたのは初めてだったのに、
起きて、ドライブしているときは気にならなかった。
それはきっと彼が、
いつもと変わらず接していてくれたからで、
彼が気にしていないからであって、
だからやっぱり、
その出来事自体は、
あたしが泣くほど気にすることではなかったのだ。
あたし自身も気にしていない。




送ってもらう車のなかで、
泣いた理由がぼんやりとわかった。
とても情けない理由で、
彼にはわかるわけがない、気にもしていない、
そこに安心したけれど、
わかったらわかったで甘えたくなった。
今甘えなければ、
不安を明日にひきずる自分も知っていたから。






「ねぇ優ちゃん。

昨日のこと怒ってないの?」



「え?昨日?

昨日ってなんかあったか?」




本気で言ってるのがわかって、
あ、やっぱり気にしてなかったな、と思ったけど、
話を終わらせるわけにはいかない。




「ん、昨日…」





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何気にしてんだバカ、お前が謝ることじゃない、
俺が悪いんだ。
優ちゃんは、あたしが予想した通りのことを言ってくれた。
だからあたしは、
緊張するかもしれないと思ったセリフもすんなり言えた。



「また、抱いてくれる?」



「当たり前だ」



そのセリフは予想外だったの。
いつもどおりの別れのキスをして、
いつもどおり、優ちゃんは去り際にクラクションを鳴らしてくれた。




泣いた理由は、
心当たりがあったから。
前から気にしていたことだったけど、
優ちゃんに甘えてそのままにしておいたこと、
そのせいじゃないかと思ったから。

でもまぁそれもきっとある、
優ちゃんはそれをカバーしようとしてくれてるから、
お前は悪くない、というのだ。
そういう人だ。




藤原君の前で、
「あたしエロくないからわかんなーい」
なんぞ言おうもんなら非難の眼差しが飛んでくるくらいなのに、
なんだか優ちゃんの前では、
何にも知らない風にしか振舞えないの。
ビビリのあたしは、
まだ心開けてない部分があるらしい。




雪絵 |MAILHOMEBLOG

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