コミュニケーション。
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| 2007年07月09日(月) |
正直、あなたじゃなくて。 |
携帯を家に置いたままバイトに出て、 帰ってきたら、家族が、 「電話、マリに電話」と騒いでいたので、 「誰?」と聞いたのに、誰も答えなかった。
私が携帯を手にとると、寺島だった。 彼奴のこの家の居場所は、既にないらしい。
寺島が車で迎えに来てくれて、 お決まりのファーストフードに出かけた。
新聞で見かけたとき、 あいつは絶対に保存するだろうな、と思ったクーポンを寺島がくれて、 あたしは久しぶりに甘ったるいアイスを食べた。
不愉快なことはなかった。 またユミちゃんの話が増えてきたようだけれど、 笑って聞き流せるくらいの余裕が、あたしにあるから、 喧嘩にもならなかった。
「マリちゃんに負けないくらいに仲良くしないと」
というセリフは、不可解だったけど。
楽しくないわけじゃなかった。 背伸びをしなくていいのは、確かに楽だ。
だけど、だけど、だけど。
胸に残る、焦燥感は何だろう。
アイスを食べるくらいなら、カメラマンとビールが飲みたかった。
どうせ乗るのなら、カメラマンの助手席がよかった。
どうせ私の時間を割くのなら、カメラマンに、会いたかった。
要するに気分じゃなかったのだ。 「コミュニケーション。」を書きたいのに、 「under one umbrella」を書け、と命令される気分に、多分似ている。
それにしても、あたしは渇き始めている。 そんな自分に、ちょっと不安だ。
カメラマンとの時間が足らなさ過ぎる。 でも、前はこんなんじゃなかった。 会えないのは当然だった、お互い仕事だから。 それがわかっていた。だから会えなくてもよかった。 「渇く」なんて単語、思いつかなかった。
あたしは、道を踏み外しかけてはいない? もう一度、確かめよう。 落ち着いて、あの人のことを考えよう。
本当に心が動いたときにしか感じない、痛みを。
そうしてそれは、
あたしに目を見開かせ、躊躇う事なく涙を零れさせた、
幸せな痛みだったことを。
…忘れないで、いよう。
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