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めんどくさいことを切り捨てない。 - 2021年06月13日(日)

以前、こういう日記を書きました。


あれから何ヶ月か経ちましたが、料理長・副料理長・若手社員・パートの
おじさんの、誰にも煮こごりは作れないまま時は過ぎていたのだとか。

そしてついに料理長がまた、

「カロリィさん。煮こごり、誰にも作れないからもうちょっと簡単で誰が
作っても差の出ない、夏野菜を使ったゼラチン系の前菜、試作してもらえ
ないかな」

と私に言ってきました。
料理長が休みの日に。
私も休みの日に。
わざわざ電話かけてきて。

*夏野菜を使う
*ゼラチンを使う
*誰にでも簡単に再現できる

ものを作ってほしいのだそうです(笑)
いやもう(笑)でしょ。

しかしながら正直なところ、私もお料理のこと、ましてや1万円前後の
コース料理で出すような商品のことを真剣に学んでいたのは20代のころまで。

四十路も過ぎて、今さらそんなこと担わされると思ってもみなかったので、
正直に

「私でお役に立てるかは分かりません。総料理長に相談するわけにはいかない
んですか?総料理長であれば、きっとアドバイスをいただけると思うのですが」

と言いました。そしたら

「いやホラ、総料理長に言うとさ、またレシピ待ったり何だかんだ、すぐ
できるものもできない面もあるしさ。オレとしては、社員とかパートとか
関係なく、ウチの店のメンバーで作り上げたいんだよね。」

と、もっともらしいことを。

呆れ果てはしたけれど、それ以上何か言ってもどうにもならないと思って
ひとまず前菜の試作は引き受けましたが、なぁ〜にが社員とパートとか関係
ないだよバーカとは思いますよ(;´Д`)

休業だ何だ、変わらず月給もらえていたのは誰だった?
シフト削られて、1ヶ月まるまるお給料がゼロだったのは、どの立場の人
たちだったの?

言うに事欠いてそれ?
このタイミングで?(笑)

自分が育てたわけでもない四十路過ぎのパートのおばちゃんに頼るしか人脈
のない自分、情けなくはならないのかしらね?

これがね、20代の頃なら抜擢と受け取り、シャカリキに頑張ったと思うのよ。
仕事大好きカロリィさんは。



とか言いつつ!!
電話もらったその日の夜には「こんな感じで行こうかな」とザックリした
案を作り、同じメニューで3パターン用意して、その案を通すための
プレゼンまで考えて翌日仕事行ったわよ。

ゼラチンを入れるためのスープ類、新たに作らずに今現在手持ちであるのは
・中華風の清湯・洋風のブイヨン・和風のあご出汁
の3種。

どれを使う?
あご出汁が無難でしょうね。
じゃあとりあえずあご出汁で作ってみます、というところからスタート。

夏野菜、手持ちは何がある?
・オクラ・ヤングコーン・アスパラ・ブロッコリー・トマト

でも原価高くつくね。
次点として
・赤黄パプリカ・インゲン・セロリ等

どんな形で作る?
・器に直接流し込む→器が足りなくなるね
・ラップでくるんで茶巾型→「うーん…」by料理長
・テリーヌ型に詰めて、出すときカット→カットできる人いないんですよね
・セルクルに流し込む→「これいいんじゃない?」「あ、コレいいね!」

てことで話を詰めていき、結果

・あご出汁使用の和風で
・野菜の種類はもう一度試作して検討
・オーバル型のセルクル使用

という大枠は決まりました。
あとは、原価と相談でどの野菜を使って、それに合わせて出汁の味を少し
調整していく感じ。



何だかんだ言いつつ!!
ですよ!!(笑)

電話もらった翌日には、前菜ひとつ、料理長のオッケーもらうところまで
こぎ着けましたから!

この作業、できる人が今の店にはいないんだよな…。
だから、ずーっとずーっと代わり映えのしないメニューが出続けている。
これまでのレシピをほじくり出して、若手の社員とパートのおじさんの
出来る範囲で再現してお客様に提供している状況。

ぶっちゃけ、とっても涼しげな、可愛らしい『夏野菜のゼリー寄せ』が
できたのよ。
自画自賛だけれども✨

でもさ、話を詰めていく段階は料理長もノリノリだったし、新作の試作を
見せたときのホールの支配人やウェイトレスの子たちのテンションも、
間違いなくアガってたからね!!

基本的には、皆仕事が好きなんだと思うのよ。
美味しいもの提供して、美味しいって言ってもらう、そんな単純な仕事
だけど、それが好きで従事してる人たちだから、この作業が楽しくない
はずがないのよ。


ゼラチンが固まった後に試食した手ごたえもバッチリ。

あ、内緒ですけどこれネットでテキトーに拾ったレシピですから。
オレンジ何とかとかレタス何とかっていう主婦向け雑誌のサイトに載ってた
レシピですからね?

料理人たちが再現できないとか、あり得ないからね?
素人でもできるものをって言われて、探したレシピだからね?

試食した支配人がひとこと。

「うん。美味しいよ。オレから言うことはとくにない。でもコレ、結局は
野菜の下処理の仕方と、ゼラチンの扱いがモノを言うよね。」

おおおぉ。
さすがですね〜。
てかむしろ、それが全てです。

野菜の下処理(掃除や下茹で、水切り)と、ゼラチンの扱い(キンキンの
冷水で板ゼラをもどしてから水切り、あご出汁投入の際のあご出汁の温度)
が全てと言っても過言ではありません。

別に難しいことではないです。
基礎があればね。

技術の要ることでもないです。
基礎があればね。

それらを『普通のこととして』作業できる基本が備わっていれば、超える
べきハードルなんて何も存在しないに等しい。

でも、それをやろうとすらしない人たちの集まりだから。
今の店は。

基本の大切さを理解しようとすらしない。
「そのくらいのこと」と切り捨ててしまう人たちしかいないから、いくら
やっても私が試作したものを再現することができないんですよ?

むしろ面倒な作業をやっている私をバカにしてるよね(笑)
「そんなことしたって」みたいな目で見られているのは知ってる(笑)

だから私は黙ってた。
自分の仕事の仕方は、今の職場には求められていないのだと。

そして堕ちるところまで堕ちてから、私に助けを求めてきたのね。



基本を大切にしてほしい。
めんどくさいことをすっ飛ばしてすぐ答えにたどり着くことが容易な時代
だけれど、めんどくさいことから学んでいくこと、大事なんだよ。

料理長や副料理長クラスの人たちに、または60前のパートのオジサンに
私から言えることはもう何もない。

息子たちよ。
息子みたいなもんたちよ。

めんどくさいと思われようと、おばちゃんはめんどくさいことの大切さを
伝え続けていきたいと思っているよ。


...

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