『庭の話』

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毒草を食べた

「毒草を食べてみた」(植松黎 文春新書)
出版自体は少し以前の本なんですけど、中々楽しめる内容なのでボロボロになるまで
読んでます。活字中毒なので、何処に行くにも本がないと待ち時間が辛いんです。

タイトルだけ見ると著者が片端から毒草を食べまくっているみたいですが(実際私も
そう考えて張り切って買いに走ったのですが)実際 食しているのは一部、明らかな
毒草となると更に少なく(考えてみると当たり前ですが)ドラッグとして国外で辛うじて
試して見る事が可能な物とか、そんな感じです。煮ても焼いても食べてはならない
猛毒系は「食べてみちゃった」人達の事例が引用されています。
自給自足のアウトドアや山菜採りが趣味の人には もっと実用的なハンドブックが沢山
あるのでしょうけれど、この本は「どの植物が毒を持っているのか」ではなく
「植物も毒を持っているのだ」と言う とても基本的なことを教えてくれます。
「何でもかんでも食べてはいけない」動物学者の今泉忠明氏が、やはり毒を持つ動物を
扱った本のスベスベマンジュウガニの項で書いておられますが(小さくて可愛い
蟹ですがテトロドトキシンを身体に持っていて、食べると死ぬ事があります。
挟まれるだけなら大丈夫ですが)植物も全く同じ事が言えます。
動物は、それでも色がケバケバしかったり、威嚇行動を見せたりしますが、植物は
静かに佇んでいるだけです。
そして食べられる物とそうでない物が、とても良く似ていたりする事もままあります。
植物を怖がるためにではなく、物言わぬ彼らをより身近に感じるために、お勧めの一冊です。

我が家の庭が、1つだった花壇を3つに増やしたのが3年前。造園屋さんにレンガで
囲い土を入れて貰いました。腕は太いがそれでも女、私一人じゃちょっと荷の重い
仕事だったからです。
その年、見た事のない植物が沢山芽を出しました。それは大きくなり、実を付けました。
たまたまMixなんとかと言う、色々な種が混じっている物を撒いていた為 その中に
入っていた物かと初めは考えました。
黒紫の丸々つやつやとした実が地味な花が咲いた後、大量に付きました。ナス科の
植物である事はボンヤリと思いましたが、ブルーベリーみたいな実でもあり
「甘そうだ」と 何となく、なんとな〜くですが 考えました。
或る日、一つ摘んで食べて見ました。うっすらと甘い味がしました。・・・がっ!
「これは・・・やばいっ」言葉は悪いですが、まさにそんな感じ。本能による警戒警報。
ここでやっと、その植物が何であるのか調べる気になったのです。
植物の正体はイヌホウズキ。実に毒があります。バカナスとも言うそうですね。
バカのナスって事なの??
一粒でどうなるほど強烈な毒では無いようですが 毒は毒。某掲示板で「甘かった」
事を報告したら勇気を褒められちゃった。やっぱりバカのナスなのかしら。
花壇に入れた土に大量に種が混入していた様子です。これは凄まじく繁殖力が強い
植物でもあり、油断していると庭中がイヌホウズキだらけになってしまうので
慌てて抜きました。

でも黒紫の実はおいしそうでした。イヌホウズキが悪いと言うより植松氏や今泉氏
が言うように「何でも食うな」と言う事なんでしょう。
でもイチイ(オンコの木)の赤い実をおやつ代わりに もいでは食べてた世代としては。
イチイは種に猛毒が。でも赤い実は無毒なんだそうです。






管理人 焙煎 |午後からガーデン