『庭の話』

目次前へ次へ


F1品種の子供達

F1と言っても自動車レースの方じゃないです。
F1のFはFilial(〜世代の)と言う意味でF1で一代目の種を指すらしいですね。
お花でもF1って頭に付く品種が盛んに売られています。これはバイオテクノロジーに
よって作り出された品種です。良いところと良いところの組み合わせ、大きな花が
色鮮やかに、花期長く咲くように。種は出来ないものもあり、出来ても親と同じ花は
咲かせない、一代限りの花々です。どちらかと言うと花より実のなる野菜とか果物に
この技術は重要な物である様です。でも花でも良く見かけます、パンジーとか珍しい
花色の物は大抵頭にこれが付いてます、F1。

F1品種の中には本当に種を付けない物があります。種が付かないようにしてある
んだそうです。それでも付ける物もあります。親と同じ姿には咲かない、そして
親より魅力的な花を咲かせる事も無いと言われる、F1品種の子供達です。

パンジーやビオラのF1にも種が付かない処理が施してあるのかも知れないけれど
稀に殖えてます。親と花色が似ていてもずっと優れず、花数も少なく、へろへろ
しています。そうでなければ親と全く違う花色が出て来ます。
新種が花屋さんに出回ると、取り敢えず少量植え付けてみますが、翌年必ず「訳の判らない」
パンジーやビオラが出て来ます。そして油断していると更に翌年、独自路線を行く
大きくなった彼らが居ます。しかも殖えてます。色は次第に昔からある紫に近い
色味となり、株も大きく花数も大量です。余り放って置くと増え過ぎて、これは
これで大変な事に。
オレンジのパンジーが毎年咲き続ける事は、うちの場合では有りませんでした。
僅かな株ですが親に似た色のオレンジが出るのは翌年までで、それ以降は
ほとんどが紫色になってしまいます。

それでも薄い紫、黒に近い紫、ブロッチのある奴ない奴、結構バラエティに富んで
面白いです。春一番、雪が溶け切らない頃に、気温の上がり易い砂利の上で彼らは
悠々と咲いています。
先祖帰った彼らは本来の逞しさを取り戻し、そろそろ自分達と同じ姿の子供が咲く
種を撒き散らす準備をしながら、生垣の下から外に向けて大株となって咲きます。
通りかかった人が 春早い割に堂々と根付いている姿を珍しがってくれます。

薄青く、可愛い班のあるビオラがシャクナゲの木に絡まるように咲いています。
株も華奢で、抜いて植え替えるとそれだけで茎も傷んでしまいそうです。
「お前は誰の子供だったっけ??」
代を重ねて行くごとに、変わった色味では無くなって行くかも知れないけれど
日向にも日陰にもそれなりに咲く、我が家らしいビオラやパンジーの姿へと変わって
行きます。通り道に上を向いて尻尾を振る子犬のように咲く花を見て「可愛い!」
と言ってくれる人もいて、上品さや豪華さはないけれど
「あながち親に負けてもいないぞ」などと考えて見たりもするのです。


管理人 焙煎 |午後からガーデン