『庭の話』

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難しい冬越し

北海道の冬は暖かいを通り越してむしろ暑いです。勿論、室内の事ですが。
ここ札幌辺りでも1月2月の最低気温はマイナス10何℃、バラは凍らないけど
外に出しっ放しにしておくと、気温が上がると黒くなって腐る。
バナナで釘は打てないけど 気温が上がるとやっぱり黒くなって腐る、屋外では
そんな感じです。
ですが昼間の室内となると、多分我々は薄着をしているんだろうなと思います。
ちょっと前に大流行したフリース素材、屋内では暑いんですよ こっちだと。
それだけストーブがんがん焚いていると、つまりそう言う事なのですが。

気密性の高い住宅、セントラルヒーティング。お部屋は乾燥、気温は高い。
しかも降り注ぐ陽射しの量は圧倒的に少ない。
秋の終わりまでゆったりと花壇で暮らした植物にとってこれはかなりきつい状況で
あると思われます。ひょろひょろになってしまいます。しかも虫が付き易い。
葉水など頻繁にして様子を見て居ないと、最悪カイガラムシなどグロイ系の大発生
を見て ひっくり返る事になります。(経験済み、グロイです)
人間が外から帰ってほっとする様な快適な環境は花にはやや暑過ぎ、シクラメン
なども継続して上手に咲かせるのは中々難しい事だろうなあと思います。

何とか冬を越し、へろへろになった植物を今度は庭へ降ろすのですが これがまた
厄介です。北国の春は いつまで経っても寒いのです。ゴールデンウィークを目の前に
庭師達のウキウキ度は最高潮となりますが、その頃 花屋を賑わしている色とりどり
の花々の半分くらいは、いきなり植え付けると弱るか枯れるかしてしまいます(涙)。
満開のものは 勿体無いけど花を摘んでから植え付けないと、夜の寒さが株には
大層な負担となります。日光の量もまだまだ十分とは言えません。
そんな中、室内でへろへろしていた植物を植え付けると、まず、より一層へろへろ
となり、やっと緑を保っていた葉は黄色くなり、やがて落ちてしまいます。
そうでなければ急な陽射しのびっくりしていきなり葉焼けを起こし、どちらにしろ
落ちてしまいます。「あいや〜〜っ」
坊主となった植物を前にしばし考えます。「自然の力を信じてみよう☆」自棄です。
半ばどうでもいいやと言う気分で待っていると、あら不思議、半月ほどで坊主に
葉が生え、蕾を付けます。それから秋まで 彼らは何とかマイペースで過ごすのです。

とは言え年ごとに株は大きくなりますし、冬の間の管理も大変になります。
春先にはロゼットになってべったり地面にへばり付く様に冬を越したツワモノが
余裕しゃくしゃくと言った感じで葉を伸ばしています。彼らは外気に合わせて
成長するので急に霜が降りたくらいでは全く堪えません。
やはり一部の鉢物以外は土から上げての室内越冬は厳しいなと思う今日この頃です。
土地の気候に合う「植えっ放しな奴ら」の逞しさにはやっぱり敵いません。


管理人 焙煎 |午後からガーデン