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2007年01月26日(金) ストライクゾーン

前回のテキスト「不快のツボ」に書いた「赤ちゃんが乗っています」ステッカーについてたくさんのコメントをいただいた。
目からうろこが落ちたのが、ステッカーの由来。それは、ある事故現場で赤ちゃんが外から見えなかったために救出が遅れ、車内で死亡してしまった……という悲しい出来事を教訓に考えだされたという。つまり、ドライバーが口がきけない状態になったときに赤ちゃんも取り残さずに助けてもらうために貼るものなのだそうだ。知らなかった!
「赤ちゃんが乗っています」の後に「なのでゆっくり走行しています」とか「お先にどうぞ」といった文言が続いていたら、「だからなに?」という冷ややかな突っ込みも減るんじゃないかしら……と思っていたが、本来の目的がそれだから「赤ちゃんが乗っています」としか書かれていないのね。
というわけなので、ステッカーを貼りっぱなしにしているという方、今日からは赤ちゃんを乗せていないときはちゃんと外してね。万が一のとき、乗ってもいない赤ちゃんを探して救急隊の人たちが危険に晒されることになりかねないから。

赤ちゃんステッカーに込めた周囲の人へのメッセージは「赤ちゃんも救助してください」と「スピードが出せないのでお先にどうぞ」が主なところだと思うが、こんな期待もちょっぴりしているという声があった。
「こちらのドアから子どもを乗せたり降ろしたりするので幅寄せして駐車しないでね、というアピールでチャイルドシート側の窓にも貼っておく」
これは思い至らなかったなあ。
それから、「Baby in Car」ではなく「Baby in Me」を見たことがあるという情報もいただいた。私はしばらくなんのことかわからなかったのだが、そう、ドライバーが妊婦であることを示すものだ。
いろいろなステッカーがあるんだなあ……といえば、笑ったのが大型トレーラーに貼ってあったというこれ。
「全長18メートル、気合入れて抜け!」

ほかにも、以前はステッカーに好意的でなかったが子どもを持って初めてそれを貼る人の気持ちがわかったという方、反対に、それを見て不快に思う人がいることを知ってこれでは逆効果だと外してしまったという方、いろいろいらっしゃいました。

* * * * *

「赤ちゃんステッカーや子ども年賀状のなにがそんなに癪に障るのか、私にはぜんぜんわからない」
と前回書いたが、それは私の心が大草原のごとく広いから……ではなくて、それらが私にとって不快のツボではないから。別の場面ではほかの人はなんともないのに私ひとりぷりぷりしている、ということもあるだろう。ツボのありかは人それぞれなのだ。
ただ思うのは、笑いのツボや涙のツボと違って不快のツボはあまりたくさん持っていないほうがいいということ。
どんなことにも不満の種を見つけてくる人がときどきいる。これが嫌あれが嫌い、この人がむかつくあの人が許せない……と始終文句を言っている。しかし彼、彼女が次から次へと気に食わないことに遭遇してしまうのは不運だからではなく、自分のポリシーや好みから外れたものに対する許容性がないからだろう。
ストライクゾーンは広めに、広めに。そのほうが自分も他人も生きやすい。