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2006年09月01日(金) 2006夏旅行記〜船の中でなにするの?(1)

三夏連続レンタカーで行く旅だったので、今年は「たまには楽させて」という夫のリクエストにより船旅になった。
……と人に言うと決まって返ってくるのが、
「船の中でなにするの?退屈でしょう?」
ということ。日がな一日、デッキで海を眺めながら本でも読んで過ごすのだろうと思われているらしい。
というわけで、今日は船での生活をご紹介。

ひとくちに船旅といっても、船によって外観がまるで違うのと同じにその雰囲気もずいぶん異なる。
夫が船好きのため、二泊程度の短いものも含めると船旅は六回目になるのだけれど、たとえば新婚旅行で乗った「クイーンエリザベス2(QE2)」はタイタニック号の子孫と言える船で、乗客はお金持ちの年配者ばかり。ディナーは毎日フルコース、ドレスコードはもちろんフォーマルだ。
映画のタイタニック号ほどあからさまではないが、階級制の名残もある。クラスによってレストランが違ったり、立ち入ることのできないスペースがあったり。飛行機で言えばエコノミーの客だった私たちは、
「もしこの船が沈むようなことになったら、最後まで救命ボートに乗せてもらえないんじゃないの……」
なんて冗談を言い合ったくらいである。

そして今回私たちが乗ったのが、「Norwegian Jewel(ノルウェーの宝石)」という船。
QE2の気品や風格はない代わりに自由がある。そのため、子ども連れや若いカップルの客が多く、船内は非常ににぎやか。
雰囲気をレストランに例えるなら、QE2は本格フランス料理店、こちらはファミリーレストラン。インテリアやビュッフェのメニュー、パーティーなどのイベントも若者向けで、そのカジュアルさがとても心地よかった。

十のレストランに十三のバー、テニスコートにプール、映画館に美容室、教会まであるといったら、その大きさを想像していただけるだろうか。それに三千人が乗って(客と乗組員は半々)、スペイン・バルセロナからイタリア四都市、フランス・ニースに寄港してふたたびバルセロナに戻る一週間のクルーズをしてきた。


【 7:00AM 】
船の一日は毎朝部屋に届けられる船内新聞を読むことから始まる。天気や気温、その日の寄港地の名所案内、出かけない人たちのための船内イベントのタイムテーブルなどが書いてあるのだ。
……といっても英文のため、私は飛ばし読み。午後はピザの作り方講習会があるとか、夕方から甲板でバーベキューパーティーだなんて情報はばっちりなのに、避難訓練の時刻や帰船の門限といった“Important Notice”欄はちっともチェックしていない、と夫はあきれ顔。

【 8:00AM 】
十二階デッキでビュッフェの朝食。レストランで食べることもできるけれど、やっぱり海を見ながらが気持ちいい。
そこで私が気に入って毎日のように食べていたのが、目の前で焼いてくれるオムレツ。十種類ほど具が用意されており、「ハムとチーズと……」というふうにいくつか選んでオーダーするのであるが、私は元気よく「Everything!」。よって、ほかの人の一・五倍くらいのサイズになる。
コレステロールを気にする人のための、白身で作るオムレツもあるからおもしろい。

そうそう、「オートミール」なるものに挑戦してみた。
コーンフレークは家でも食べるが、それは食べたことがない。外国の映画や漫画に母親が嫌がる子どもの鼻をつまんで食べさせる……なんてシーンが出てくるため、おいしい食べ物というイメージがなかったのだ。しかし、若い人も年配の人もよく食べているので興味が湧いた。
皿に三分の一ほどとってくる。ううむ、まず見た目がよろしくない。「嘔吐ミール」と言われるのもわかるなあ……。
ひとくち食べてみたら、なんじゃこりゃ?ぜんぜん味がないじゃないか。
が、本当にこういうものだったら大人だって好んで食べるわけがない、と思い直す。そこで人が皿に盛っているのを観察したところ、砂糖やシナモン、牛乳を加えることがわかった。
「なるほど、それならおいしくなるかも」
しかし、今度は甘いお粥になってしまった。

【 9:00AM 】
船を下りて観光へ。ほぼ毎日どこかしらに寄港するので、夜の出港までの半日間、自由行動できるのだ。
ナポリ港でカプリ島に行くか(私)、ポンペイに行くか(夫)で大ゲンカ、なんて日もあったが(出発前、「船旅では別行動はできないんだから仲良くね」と何人もの人に言われ、私もほんとにそうだわと思っていたのですが、「寄港地で別行動」というパターンがあったことをこのたび発見いたしました……)、基本的にはガイドブック片手に電車に乗ってちょっと遠出。
ところで、私が使っている携帯は夫と家族割引にしているボーダフォンである。これは実家(神戸)に帰省すると圏外になるという使えない代物なのだが、海外でだけは重宝する。
好奇心過多、でも方向感覚はゼロ……いやマイナスの私はしばしば迷子になる。そのため、旅行中は電池の減りにやたら敏感だ(夫が)。

【 6:00PM 】
船に戻ったら、夫はジムへ、私はデッキへ。二十時くらいまで明るいので、散歩をしたり本を読んだり。この時間は多くの人がテニスをしたりプールで泳いだりして遊んでいる。
乗り物に弱い私は船酔いして横にならなくてはならないことがよくあるのだが、今回は内海(地中海)だったためほとんど揺れず、実に快適だった。
しかし、機嫌よく絵はがきを書いている最中に住所録が風にさらわれて海に飛んでいったときは顔面蒼白に。
「きゃあああ!まだ半分も書いてないのにーっ」
……が、そこは用意周到な小町さん。そんなこともあろうかとコピーをとっておいたのさ。

(次回につづく)