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2006年07月31日(月) 「ふたりで」行きたいんです。

自分がどんなサイトを読んでいるかを人に知られるのはとても照れくさいので、めったにやらないのだけれど、今日は具体的に挙げないと話ができないので意を決して紹介する。
絵日記サイトの管理人さんは大半が女性ではないかと思うのだが、私のブックマークの中には大学生の男性がしているイラストブログがある。
男性が描いているとは思えない乙女チックなイラスト、それに添えられた文章も楽しい。が、一番の魅力はなんといっても書き手のキャラクター。純情というか、いまどきちょっといないようなきらきらした人なので、読みながらつい遠方で大学生活を送る弟を見守る姉のような気持ちになってしまう私である。

さて、その彼の日記に最近こんな話があった。
好きな女の子をドキドキしながらデートに誘ったところ、彼女が……(「イバラノツルヒコの華麗なる生活」7月25日更新、「そんなのって」)という内容だ。
「ある、あるー」と激しく相槌を打った方もいらっしゃるのではないかしらん。私もそのくちで、ツルヒコさんの立場になったことも女の子の立場になったこともある。だから、こういうときの無念はそりゃあもうよくわかる。
でも、今日は女の子側だったときのことを思い出して、「どうしてこういう展開になっちゃうか」を書いてみたい。

* * * * *

男性から誘いを受けたとき、女性がオッケーした後、「ほかには誰が来るの?」と続けるとしたら、三つのパターンが考えられる。
ひとつは、相手が自分とふたりで行きたがっているとは夢にも思っていない場合。
男性が女性に誘われると、どういう間柄であってもとりあえず「もしかして俺に気があるのかな?」と考えてみるものらしいが、女性はそうとは限らない。ふだんグループで会っている仲だと、たまたま自分に一番最初に電話がかかってきたのね、と解釈することも多い。
そして、「じゃあエリコたちには私から声かけとくねー」なんて無邪気に言い、男性の決死の覚悟をこっぱみじんにしてしまうのである。

ふたつめは、デートのお誘いであることに女性も薄々気づいており、かつそうであってほしいと思っているのに、もし違っていたら格好悪いなという気持ち、あるいは照れ隠しから「で、メンバーは?」と言ってしまう場合。
「それって、もしかしてふたりで……?」と思っても、相手の意向がはっきりするまではぬか喜びにならないよう、はやる心にブレーキをかけるのだ。
こういうとき女性はもちろん、「えっと、できればふたりで行きたいんだけど……」という答えを期待している。しかし、男性のほうは「ガーーン!彼女はみんなでだと思ってる……」とすっかり動揺しており、「あ、う、うん、あいつらには俺から連絡しとくから」と(力なく)言われてしまうのだ。
誘う側も誘われる側も、相手が先にわかりやすい“サイン”を出してくれるのを待っているものだから、いいところまで行くのにあと一歩届かない。ああ、なんてもどかしい。
しかしまあ、このケースは互いに好意があるので、たとえ亀のごとき歩みでもその距離は次第に縮まり、初デートの日はじきにやってくる。

そして最後のひとつは、デートのお誘いだと気づいていながら、いや、いるからこそ「みんなで」と言う場合。
脈があると思われると困る、だけど嫌いなわけでは決してなくて(嫌いであればオッケーしていない)、友人や仲間としてはこれからも仲良くしたいから、断るのもな……。
そういうときは鈍感を装うことで、「そんなこと思いもよらないほど、あなたは私にとって友達なの」というアピールを試みる。言わなくても気づいて、言わせないで、というわけだ。
この場合は前のふたつと違って、ほとんど見込みはないだろう。

それにしても気の毒なのは、男性には彼女がこの三パターンのどれであるか見分けがつかないことである。


「じゃあみんなには私からも声かけとくねー」
「あ、う、うん、よろしくね……」

世の中にごまんとある展開だと思う。ではこれを避けるにはどうしたらいいのか。
「ふたりで行こう」と最初からストレートに言うことだが、ハイ、そうですかと実践できるくらいなら苦労しない。
でも、たとえば「チケットが二枚あるんだけど、よかったら……」なら、ぐっと言いやすくなるのではないかしらん。これでも十分、女の子が「みんなで行くのね」と思い込んだり、ふたりでなのかみんなでなのかわからずリアクションに悩んだり、という事態は防ぐことができる。
何度チャレンジしても大勢でワイワイになってしまうときは、映画でも遊園地でもコンサートでもいい、「チケット」の力を借りてみるのも手かもしれない。
あとは、「恥をかきたくない」という気持ちを捨てること、かな。

私も好きな人ができると自分から誘うほうだったが、それでも電話をかける前はものすごく緊張したものだ。どういうふうに話を持っていったら自然かな……なんてあれこれ考えたりして。「ふたりで!」と言っている時点で、こちらの気持ちはバレバレだというのに。
ほんの小さな言葉や表情から、ああかな、こうかなと相手の気持ちを占おうとしていた頃が懐かしい。
片思いもすてきだけれど、こういうツルヒコさんも可愛いけれど、やっぱりいつかハッピーな報告を読ませてほしい。がんばって!