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2005年08月26日(金) その乳首にもの申す!

私が日本の女性の美点であるなあと思っているのは、「見せてもよいもの」と「見せてはいけないもの」の線引きがきっちりなされていることである。
日本の女性にとって「見せてはいけないもの」とは、ブラジャーのストラップや胸の谷間、ローライズのパンツの腰からのぞくお尻だけではない。
二の腕がぶよぶよしている人はノースリーブを着ないし、ぽっちゃりした女子高生のスカート丈は他の女の子より長めだ。薄着の季節は普段以上にむだ毛の手入れに気を遣うし、パンティーラインを消すためにTバックを履いたりもする。

女性がそういうことを意識するのが当たり前の国に住む私の目に、ドイツの女性がノーブラで堂々と街を歩いている光景はかなり驚きだった。

* * * * *

日本の女性はブラジャーをつけられない服を着るときは「ニップレス」でバストトップを隠すが、あちらの女性にとってそれはなにがなんでも隠さなくてはならないものではないらしい。
ぴったりした服を着て乳首を浮き彫りにしている女性を見かけるたび、私の目は一点に・・・いや、二点に釘づけになったものだ。

「恥ずかしくないんですかああっっ」
と声を大にして訊きたいところであるが、彼女たちが平気な理由が「無頓着」であるとするなら、理解できないことはない。脇の手入れをせずにノースリーブを着られる人たちだもの、きっと細かいことは気にしないのだろう(私たちにとってはちっとも細かいことではないけれど)と解釈しようと思う。
しかし、実際には「それに羞恥を感じない」どころの話でなく、「ニップルエンハンサー」なる“つけ乳首”を装着してさらに目立たせようとする人もいるのだから、私の理解可能な範疇を超えている。
たしかに、




より、




のほうがセクシーではある。だから、マリリン・モンローがブラジャーのカップに小さなボタンを縫いつけていたというエピソードにはなるほどと頷くことができる。
しかし、普通の女性が同じことをしているというのには、ううむと考え込まずにいられない。それって“素敵”か・・・?

突起を強調するだけでは飽き足らず、乳輪まで透かして見せちゃおう!という濃い茶色タイプのものまで売られているが、あちらの男性はここまでする女性をどのように見ているのだろうか。
ノーブラの女性の胸がツンと上を向いているのを見たら、やはりどきっとするのかもしれない。ぱっと見ではその真贋を判別することはできないから。
しかし、ブラジャーをしているのにそういう状態だったら、どう考えてもつけ乳首である。それでも魅力的に感じるものなのだろうか。服の下を想像したら、かなり滑稽な絵だと思うのだけれど・・・。
以前、ブラジャーにパッドを入れて実物より胸を大きく見せようとする女性の心理について日記に書いたら、ある男性が「僕たち男がバストの“水増し”反対を訴えるのは、脱がせたときに失望させられたくないからだ」とおっしゃった。
その論理に則るなら、「男の目をあざむくつけ乳首なんてけしくりからん」ということになるけれど、欧米の男性と日本の男性とでは思考回路が違っていそうな気もする。シャラポワのあれが本物か偽物か知らないが、もし後者だったら、日本の男性は本気でがっかりしそうだ。


ところで、ニップルエンハンサーを装着してデートに臨み、彼といい雰囲気になったとする。私だったらこんなバカバカしい細工をしていることは絶対に知られたくないから、彼の目に触れる前になんとしても取り外さねばと考えるが、欧米の女性たちはどうなんだろう?もし同じくだとしたら、万が一そのタイミングを逸したときは死ぬほど恥ずかしい思いをするのではないだろうか。
自前の乳首の上に装着していたのならまだいい。ブラジャーの上から、しかも見栄を張って本来よりも上めにつけたりなんかしていたら(通販のサイトにはつけ乳首の利点として、“位置”を修正できることが挙げられている)、私ならその場で舌を噛み切ってしまいたくなるだろう。


冒頭に書いたように、日本の女性は「みっともない」「はしたない」に敏感で、欧米の女性に比べたら露出も控えめである。とはいえ、若い人たちのファッションは年々大胆になっている。
「おいっ、おまえパンツ見えてるぞ!」
「いーのいーの、これ、見せパンだから」
という展開はすでにありえるが、近い将来、
「げっ、おまえ乳首透けてるぞ!」
「へーきへーき、これ、ツケチクだから」
なんて会話が成り立つ日がやってくるのではあるまいな。

ダミーであろうが、恥ずかしいもんは恥ずかしい。たとえそんな時代がきても私にはとても無理であるが、あなたはどうだろう。
奥さんや恋人がバストトップを尖らせて街を歩くのを「まあ、生乳首じゃないしな」と理解を示すことはできそうか。