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2005年08月19日(金) 外国人はどうして日傘をささないの?

海外を旅行していて不便だなあと思うことはいろいろあるけれど、私がその筆頭に挙げたいのは「日傘をさしづらいこと」である。

というのは、あちらでは誰もさしていないから。
以前北欧に行ったとき、あまりの暑さに驚いた。熱波がヨーロッパを襲い、一万五千人が亡くなった一昨年の夏のことだ。まさに身の危険を感じるような強烈な日差しで、私はもちろん日傘をさして街を歩いたのだけれど、デンマークでもノルウェーでも、見知らぬ人に「雨が降っているのか?」と声を掛けられたのである。
向こうから歩いてくる人がちらっと空を見やり、すれ違いざまに怪訝な顔をしたことは数えきれない。どうも日光を遮るためにそうしているということがわからないようなのだが、「日傘」は日本だけのものなんだろうか。

そんなわけで、海外ではあまりささないのだけれど、私は不思議でしかたがない。アメリカでもヨーロッパでもオーストラリアでも、街行く女性が日傘をさしているのを見たことがないが、彼女たちはどうしてああも太陽の下で無防備でいられるのだろう?
この時期、日本では日傘をささずに外を歩いている女性のほうが少ない。大阪のオバチャンなんて、「さすべえ」を使ってまでそれを手放そうとしないではないか。
それなのに、メラニン色素が少なく私たちよりずっと紫外線のダメージを受けやすい肌をしている白人女性が、どうしてその対策に頓着しないのだろうか。

私にとって、日焼けは太ることよりずっと怖い。
なぜなら、暴飲暴食をして二、三キロ太ったところでダイエットをすれば元に戻せるが、日焼けはそうはいかない。たとえ十年間完璧に紫外線対策をし、肌を守り抜いてきていても、たった一日の油断やうっかりがいとも簡単にその努力を水の泡にしてしまうからである。できてしまったシミやそばかすはちょっとやそっとのことでは消えてくれないのだ。
だから、私はSPF50のサンスクリーンをつけている日でも無駄に日なたにはいない。外国では夏でもオープンカフェで日光を燦々と浴びながらお茶を飲んだり、芝生に寝転がったりしている人をよく見かけるが、そのたび「そんなことしてて大丈夫なんですかあっ」と心の中で叫ぶ。

十年前、初めてアメリカに行ったとき、街行く女性の剥き出しになった肩や二の腕を見て、「そばかすって顔以外の場所にもできるのか!」とものすごいショックを受けたことを思い出す。
欧米人のように顔は小さくないし腰の位置も高くないけれど、日本人女性の肌の美しさは世界に誇れるものだと思う。

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今回の旅でもうひとつ、あちらの女性との感覚の違いを痛感したことがあったのだけれど、それは次回。