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2005年02月09日(水) 私とお友達になって!

『週刊文春』で中村うさぎさんの「私のお部屋に来て!」というエッセイを読んだ。登録してまもないというmixi(ミクシィ)についての話である。
mixiをご存知だろうか。ソーシャルネットワーキングサービスのひとつで、ひとことで言うなら会員制の友達リンクサイト。会員からの紹介がなければ登録できない仕組みになっており、日記を書いたり他会員とメッセージのやりとりをしたりして人脈を広げていくのである。

さて、面白いよと友人に誘われ、入会した中村さん。が、実は内心ではバカにしていた。ネットの世界で友達を作らなくてはならないほど自分は孤独に苛まれていないし、何が悲しくて一銭にもならない文章(日記)を書かなきゃならないのよ、と。
しかし、そう言っていられたのは最初の何日かだけ。中村さんは次第に焦りはじめた。というのも、待てど暮らせど誰も部屋(ページ)にやってこないからだ。他の人の部屋を覗くと“お友達”が十人も二十人も登録されているのに、自分のところはいつまでたっても紹介してくれた友人ただ一人。
このmixiという世界で、私という存在は無いも同然なのだ……。アイデンティティの危機を感じた中村さんは奮然とキーボードを叩きはじめた。
「ネット内の小世間で認められたいというちっぽけな願望に突き動かされて、本業そっちのけで必死で日記を書いている私はバカじゃないのか、本当に」


「自分の存在をどうのこうのといったって、たかがネットの世界じゃないか」と中村さんを笑う人は多いに違いない。たしかにものすごくバカバカしい。
が、私は「こ、これは寂しい!なんか知らんけど、むちゃくちゃ孤独じゃん!」をかなり理解することができる。
年明けに私はサイトの引越しをした。調子の悪いホームページ作成ソフトをだましだまし使ってきたのだが、いよいよ限界を感じたためレンタル日記「エンピツ」のスペースを借りて書くことにしたのだ。
すると、思いがけずうれしいことがあった。何人かの日記書きさんから、「エンピツへようこそ。今日からお仲間ですね」というウェルカムメールが届いたのである。
「新参者です。どうぞよろしく」と返事を書きながら、私は「コミュニティ」という言葉を思い浮かべた。「同じ世界の住人である」ということにほのかな連帯感を抱くことがあるとしたら、そこには疎外感もまた存在するということだ。

……とこのあたりで、記憶力のすばらしい読み手の方には「他人事みたいに言ってるけど、小町さんもmixiの会員でしょ?」と言われてしまいそうだ。そう、半年ほど前に職場の同僚から招待状をもらい、mixiに登録したのである。
しかしながら、彼から日記の書き方まで伝授されたにもかかわらず、私はまもなく退会してしまった。どうしてもなじめないことがあったのだ。
それは、誰かのページにアクセスすると自分の名が先方に通知されるようになっていること。
私の訪問を知った相手はかなりの確率でこちらのページにやってくるのだが、これに慣れることができなかった。新着日記のリストから適当に飛んだまったく見ず知らずの人に「あなたのページを何時何分に見に行きました」を伝えてしまう、そのことに対する恥ずかしさと不気味さである。
私たちweb日記書きが利用しているアクセス解析は来訪者がどこの誰かまでは特定しない。mixiは未知の人と知り合い交流するための場なのだから、「自分が訪ねたことなんて知られたくないわ」と思うほうが間違っているのはわかっているが、“顔”の見えるコミュニケーションに慣れていない私はおおいに戸惑ってしまった……というわけなのだ。

* * * * *

さて、日記を書きはじめて中村さんのmixiライフはバラ色に変わったのだろうか。
「日記にはほとんどコメントがつかず、友達もたいして増えない(現在ようやく三人……トホホ)。私の文章にはそれほど魅力がないのか、と膝から崩れ落ちそうな気分の今日この頃」
なのだそうだ。
実は、アカウントを削除したことをもったいなかったなとちょっぴり後悔している私。このエッセイを読んだからというわけでもないけれど、こことはまったく違う日記を書いてみたらどうかなあ?よおーし、私のチャーミングな部分を前面に打ち出してやるー!……なんてことがちらと頭をよぎったりしているの。

同窓会で何年かぶりに会った男性に「あら、この人、こんなにいい男だったっけ?」と思うことはないだろうか。実際は彼が見違えるほど素敵に変身したわけではなく、こちらが年を重ねて彼の魅力を理解できるようになったという話なのであるが、ええと、つまりその、なにが言いたいかというとですね……。

「どなたか私を招待してえ〜!」

あれから私も少しは大人になりました。いまなら訪問履歴がどうたらと言わず、楽しめそうな気がするの……。
友達になってあげてもいいよとおっしゃる心ある方、招待状を送ってくださいませんか。下のアドレスまでどうぞよろしくお願いします。