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2004年09月10日(金) 「小町さんってA型でしょ?」

三ヶ月前に結婚相談所に入会した年上の友人であるが、依然として成果があがらないらしい。
「月に何度も開催されると聞いていたカップリングパーティーが応募者多数のために毎回抽選で、ちっとも参加できない」
「相手に望む条件の中の身長と出身大学を“不問”に変更したのに、四十歳になったとたん紹介数が減ったような気がする」
という愚痴はしばしば聞かされていたのだけれど、最近彼女は新たな“敗因”を見つけだしてきた。プロフィールに問題があるのではないか、と言うのである。入会時に相性のいいパートナーのタイプを見極めるためのカラー心理テストをやらされたのだが、その診断がことごとく当てはまっていなかったらしい。
「自分の活動分野を広げることに意欲的で、目標に向かって突き進むタイプ。困難や障害にも果敢に立ち向かう強さを持っています」
というコメントがプロフィールに記載されていると聞き、そりゃあまずいね、とうなづいた私。それは少なからぬ男性を怖じ気づかせるであろうし、なにより彼女はその評価とはねじれの位置にいるといっても過言ではないタイプの女性なのだ。もし、気の強いキャリアウーマンをイメージさせるこのコメントに“ビビビ”ときて(古いか……)アプローチしてくる男性がいたとしても、話がうまくまとまるとは思えない。
しかし、結婚相談所のカウンセラーは「このテストは世界的に有名な心理学者が開発した信頼度の高いものであり、あなたは気づいていなくても、深層心理にはたしかにそういう部分が存在するということなんですよ」の一点張りで、コメントを変更してくれないという。
「自分さえ認識できてない面まで“私”に含まれるわけ?」と彼女が困惑するのはもっともだ。心理テストの結果といえども、手元に届いた男性のプロフィールに「主体性に乏しく、人の言動に左右されやすいタイプです」なんて一文があったら、私なら敬遠してしまいそうだ。

雑誌にはよく性格診断系の心理テストが載っているが、私はむかしからこの手のものに興味がない。
YES・NOを指でたどっていくだけの簡単なフローチャートなら一応やってみるけれど、自分で点数を集計しなくてはならないようなものは確実にパスだ。「当たっていようがいまいが結果を面白がる」という遊び心がないらしく、したがって「女の子」と呼ばれた時代にも占いには見向きもしなかった。
しかしながら、こんな私にもひとつだけ、「そうバカにしたものでもない」と思っているものがある。血液型による性格分類だ。
一般的に、A型は几帳面で完璧主義、B型は活発でマイペース、O型はおおらかで優しい、AB型は合理的でクールと言われているが、友人知人を見ていてもなるほどと思うことが多い。また、私が過去にお付き合いした男性は全員A型であるという事実にも、血液型と気質のあいだになんらかの関係があっても不思議ではないと思わせるものがある。
さてここで、じゃあ私は何型かという話になるのであるが、ある界隈の人たちからは「A型でしょ」と言われることが多い。
ひとつは職場の同僚。彼ら曰く、「文字からしてA型」なのだそうだ。ふうーん。
そして、もうひとつが日記の読み手の方だ。どうしてそう思われるのかについてはだいたい見当がつく。書くことに関しては癇症なところがあるという話を何度となくしてきたからだろう。以前、このサイトをリンクページに加えてくれた日記書きの友人から、
「タイトルは“思う”でなく“思ふ”で、その後ろはひとマス空けて、最後の点は三つ。よし、完璧!……って確認したから大丈夫だと思うけど、一応見ておいてね」
と言われたことがある。えらいおおげさやなあと笑ったら、「だって小町さん、そういうところ気にしそうなんだもん」と彼。私はひえーと声をあげ、「私がふだん『誤字脱字や固有名詞の間違いが許せない』と言っているのはあくまで自分の書いたものについての話なんだってば!」とあたふたしたのであった(……と書いても、いまあわててリンクページを見直している方が何人もいそうだ)。
また、私の書いたものに対する愛着の強さにも、A型気質を感じさせるものがあるのかもしれない。アップしたら最後、もう読み返すことはないという書き手も多いようだが、私は何度でも繰り返し読んでは容赦なく手直しを加える。その作業の中で、賽の河原に石を積んでいるような感覚にとらわれることもしばしばだ。
私は以前、前回のテキストを過去ログに移す前に最新のものを上書きし、更新してしまうという失敗をしたことがある。
私にとってweb日記関係の出来事でログを喪失するほどつらいことはない。しばし呆然としたあと、猛然とキーボードを叩きはじめた私は、数十分後にできあがったものを読んで驚嘆した。完璧に近い形で復元できていたからだ。
電車の中などで手帳に貼り付けたプリクラを飽きずに眺めている人を見かけるたび、そんなに自分の顔を見てなにが楽しいのだろうと思っていたのだが、これだけの長文を、しかも二日前に書いたものを暗記しているほど読み返している私もまるで同類なのであった。
で、私の血液型だけれど。
正解はB。誰も興味ないだろうとは思ったけれど、ま、話の流れってやつよ……。

※参照過去ログ 2004年1月30日付 「賽の河原に石を積むような」

【あとがき】
日本人でもっとも多い血液型はAだけれど、四割に満たないのだから、私の場合、数人はOやBの男性がいるはずなのです。それなのに全員見事にA。おまけで言えば、全員長男(もっとも、この世には次男、三男より長男が多いわけだけど)、かつ学生時代はゼミの委員長やサークルの会長してました、という人でした。
好みのタイプは?と訊かれて、「いま好きな人がタイプかな」と答える女性がよくいるけれど、私の回答にはなりえません。性格はそれぞれ違うけど、共通するものはしっかり存在します。実生活でそういう男性を見つけると、「アラ、○○さんて私のストライクゾーンど真ん中ですよ。厄介なことになると困るから、私にあんまり近づかないでくださいね」とか言って相手を怯えさせるのが好きな、悪趣味な私です。