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2003年12月15日(月) 名古屋ひつまぶしオフ(後編)

ひつまぶしはとてもおいしかった。
前夜のようなパワー炸裂どんちゃん騒ぎオフも楽しいけれど、おいしいものに舌鼓を打ちつつ小人数でじっくり語らうのも私は好き。実は先日東京を訪れた際にも、日記を通じて知り合った女性とランチし、日記関連だけでなくプライベートな話までたーんとしてきたのであった。
ごちそうさまをしても別れるのが名残惜しく、場を喫茶店に移して話のつづきをする。三膳分のご飯をたいらげたあとに『HARBS』のケーキを食べるという偉業(ここケーキはとても大きい)をなんの苦もなくやってのける三人。私が女の子っていいなあと思うのはこういうときだ。男性はたいていコーヒーしか注文しないため、一緒に店頭のショーケースに張りついてどれにしようかと悩んだり、一口ずつ交換したりする楽しみがないんだもん。
さて、ここでもいろいろな話をしたのだけれど、中でもへええと思ったのはひよこさんが勤務している小学校の話。運動会の三日前から場所取りがはじまるというのだ。ビデオカメラを回すのに格好の場所には水曜からレジャーシートが敷きつめられるのだそう。
すごいなあ。同い年のKKさんと「私たちの時代は八ミリだったよね」「うちはそれさえなかったけどさ」なんて言いながら聞く。
コーヒーをおかわりしながら二時間は話しただろうか。名古屋をいとまする時刻がいよいよ近づいてきた頃、私はひよこさんにあることを尋ねてみた。
名古屋に遊びに行くことが決まったとき、サイト上で「誰か一緒にひつまぶしを食べてくれませんか?」と声をかけた。そしてこのおふたりが手を上げてくださったのだが、KKさんとは以前からお付き合いがあったものの、ひよこさんとはこのときが初コンタクト。緊張しなかったのだろうか。
「そりゃあ勇気いりましたよー。でも、会いたかったから」
フォークを持つ手がとまる。私は自分を卑下する者ではないけれど、「私なんかに」という謙遜とは異なる気持ちが湧いてくるのをどうすることもできない。ありがたくてまぶたの奥が熱くなる。
「あなたに会いたい」------それは日記書きにとって究極の賛辞ではないだろうか。何年も同じ場所に日記がアップされつづけているといっても、現実には書き手はそこでなんの個人情報も明かしていない。その人物を信用するに足るなにも、そこには存在しないのだ。
にもかかわらず、「この人ならだいじょうぶ」を感じ、モニタのあちら側という安全な場所から出てきてくれる。会うことになると携帯の番号を、絵ハガキ企画をすると住所や名前を教えてくれる人がいる。そのたび、「いいんですか、私に教えて」と彼に、彼女に問いかけてしまいそうになる。そして、この信頼を傷つけまいと心に誓う。
書いたものを褒められるのはうれしい。その書いたものを通じて「私」に安心してもらえるのはさらにうれしい。それは一朝一夕に築けるものではないから。誰にでも抱けるものではないから。
少なくとも私が口にする「会いたい」はそういうものだ。それはサイトを通じて知り合った人に私が示せる最大限の愛情と信頼の証である。
「百読は一見に如かず」
これを実感することの多い一年だった。この場所で日記を読んだり書いたりしているうちは、ぽーんとなにかを飛び越えてしまう感じを求めて、私はまた誰かに会いに行くだろう。

【あとがき】
甘いものを食べる男性にはちょっとした憧れがあります。お付き合いした男性で甘いものが好きな人は一人しかいなかったので、誕生日やバレンタインにお菓子を焼くという楽しみがなかったんですよね。喫茶店で男性と一緒にケーキセットを食べる……ほのぼのとしていい光景ですね。